コーラル・シー諸島のゲイ・アンド・レズビアン王国

コーラル・シー諸島のゲイ・アンド・レズビアン王国

コーラル・シー諸島のゲイ・アンド・レズビアン王国は、オーストラリアのクイーンズランド州に位置し、ゲイの権利を主張する団体によって2004年に設立されたミクロネーションです。この王国は、オーストラリア政府が同性婚の承認を拒否したことに対する抗議の一環として生まれました。設立当初、王国の国歌として選ばれたのは、グロリア・ゲイナーの有名な曲『ありのままの私』です。

設立の背景

2004年、その年の6月、オーストラリア政府が同性婚を認めないという決定を下したことに深い失望を覚えたゲイコミュニティの中で抗議グループが結成されました。このグループは「ゲイフラワー号」という船を使用して、グレート・バリア・リーフの無人島であるケート島へ向かい、ここを王国の拠点としました。その指導者であったデール・アンダーソンは、自らを皇帝と名乗り、後にデール・アンダーソン一世として知られるようになりました。

この王国は他の国家から公式に承認を受けることはありませんでしたが、独立宣言を通じて、ゲイとレズビアンが自由に生活できる新たな国の形を提唱しました。皇帝は、王国の司法を担う高等裁判所とその裁判長官を任命し、すぐさま体制を整えていきました。

独立宣言とその理念

王国を設立する際、デール・アンダーソンは独立宣言書を作成し、アメリカ独立宣言から影響を受けた文言を引用しました。その中には、「我々はすべての人間は平等に創られ、生命、自由、幸福の追求といった特定の譲ることのできない権利が神により与えられているという事実を自明のこととして保持する」というフレーズがあり、個々の権利と自由を強調しています。

経済活動

ゲイ・アンド・レズビアン王国の財源は、ケート島に存在していた天候観測所を郵便局として運営し、オリジナルのコインや切手の販売によって得られました。2006年には、記念すべき最初の切手が発行され、これが観光資源としても注目を集める要因となりました。王国の公式ウェブサイトでは、観光活動や釣り、切手の購入が行われ、これが王国唯一の経済活動となっていました。

また、王国内では水泳、リーフウォーキング、ラグーンでのシュノーケリング、バードウォッチングなどのアクティビティも政府公認の非営利活動として行われており、訪れる人々に楽しみを提供していました。

王国の解散

2017年、オーストラリア政府がついに同性婚を合法化したことにより、ゲイ・アンド・レズビアン王国はその役割を終えることとなりました。この解散は、運動が目指していた法律的な権利が実現したことを意味し、王国の存在意義が失われることとなりました。

結論

コーラル・シー諸島のゲイ・アンド・レズビアン王国は、少数派の権利擁護の象徴として短期間でありながら注目を浴びました。未だに、ミクロネーションの設立が持つパワーや社会運動の影響力について考えさせられる存在です。

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