コーリン鉛筆

コーリン鉛筆株式会社の歴史と製品

コーリン鉛筆株式会社は、1916年に日本の文房具業界に登場しました。その創業は東京都千代田区東神田にあり、赤木廣八商店としてスタートを切りました。創業当初から鉛筆製造に特化し、後に日本の鉛筆市場で第3位のシェアを誇るまでに成長。その高い品質を持つ色鉛筆やアートワーク系製品に特に注力し、顧客の支持を集めました。

株式会社の沿革

コーリン鉛筆は1929年に東京田端に鉛筆製造工場を取得し、1932年に足立区へ移転するなど、事業拡大を図りました。しかし、1945年に戦災により社屋が消失し、1947年にコーリン鉛筆株式会社に改称。1982年には本社を葛飾区に移転し、それまでのブランドイメージを一新する方針を取ります。

1991年にはタイ王国に鉛筆の生産拠点を設立したものの、1997年に日本本社は約70億円の負債を抱えて倒産しました。この倒産を受けて、タイ法人はタイ資本100％の会社に移行し、事業が継続されました。

その後、2007年にタイに色鉛筆の専門生産拠点を設立し、2009年に新たにコーリン色鉛筆を東京都墨田区に設立。これにより、日本国内で再び「コーリン」ブランドの製品が流通するようになりました。2011年にはタイ市場でのシェアが約50％に達し、再び生産活動が活発化しました。

主な製品

コーリン鉛筆の主力製品には、様々な鉛筆やシャープペンシル、色鉛筆が含まれます。特に有名なのが、高級鉛筆「ハイピアス」（No.5050）で、1967年に発売され、複数のカラーでラインアップされました。この製品は2009年に復刻版が登場するなど、その人気は衰えていません。

また、「コア」シリーズは1970年代から販売されている中級品であり、特にコア5550は初期に鴎のデザインの付録が同梱されていたことで話題を呼びました。標準グレードの「No.9900」や、事務用として人気の「No.3030」も幅広く使用されています。

シャープペンシルの「ジブ」や「マイシャープ」シリーズも、1970年代に登場し、高い人気を誇っていました。これらのモデルは多彩なラインナップがあり、特にダブルノック式とシングルノック式に分かれています。

さらに、色鉛筆では「マイルデックス（MILDEX）」や色鉛筆No.770が代表的な製品です。これらは様々なケースデザインで販売され、消費者に愛されています。

復活の経緯と展望

コーリン鉛筆の復興の道筋は、困難な状況から生まれた戦略的な決断によるものでした。日本本社が倒産した後も、タイ法人は日本人社員の指導のもとで業を継続し、商標権も引き継がれました。特に、金色の特殊コーティングを施したシャープ芯や、色鉛筆の生産を強化することで、再び顧客の支持を得ることに成功しました。

このように、日本国内外での活動を通じて、コーリン鉛筆は今後も文房具業界において重要な役割を果たしていくことでしょう。将来的には新商品開発に加え、さらなるブランドの復活を期待される存在となっています。

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