コールラビ

コールラビについて

コールラビ（毬茎甘藍、学名: Brassica oleracea var. gongylodes）は、アブラナ科に属する二年生の草本植物で、主に肥大した茎部分を食用としています。原産地は地中海北部で、その名はドイツ語の「kohl（キャベツ）」と「rabi（カブ）」に由来しています。見た目は球状で、色は緑と紫があり、味はキャベツやブロッコリーの茎に似ています。このため、生食としてはサラダやピクルスに利用され、加熱すると甘味が増すという特徴があります。

歴史的背景

コールラビは、紀元前400年頃の古代ギリシャにまでさかのぼるとされていますが、その詳細は不明です。中世の1558年にはギリシャからイタリアとドイツに導入され、1683年にはイギリスに伝わりました。アメリカにも1806年頃に入ったとされています。ドイツやインドでは広く栽培されましたが、イギリスでは主に家畜の餌として用いられました。日本へは明治時代に紹介されましたが、当初はあまり普及しませんでした。しかし近年、再び注目を集めています。

形態と生態

コールラビはキャベツの近親種であり、草丈はキャベツよりも低いです。地面に接する茎が特異な形状をしており、直径約5～10cmの偏球形に肥大します。この肥大茎を「球茎」と呼び、表面にはワックス状の物質が多く含まれています。葉は球茎の上部または側面からまばらに生え、形は小型の卵のようです。花は通常4月に乳黄色で咲き、莢は短くて太い構造を持ち、種子はキャベツに似た形状をしています。コールラビは春化の影響を受けやすく、温度によって花芽を形成します。

品種

コールラビにはいくつかの品種があり、熟成度に応じて早生種と晩生種に、またその色に応じて緑色種と紫色種が存在します。早生種は播種から60～90日で収穫でき、主に春から夏にかけて栽培されます。一方、晩生種は120日以上かかり、一般的には秋に栽培されます。代表的な品種には、ホワイトビエンナやパープルビエンナ、早生種のプリマなどがあります。これらは多くが家庭菜園でも手軽に栽培でき、更に施設栽培も可能です。

栽培方法

コールラビの栽培には約2か月が必要です。春に種をまき、収穫は初夏の3月から7月、または秋に播種して冬に収穫する8月から2月の方法が一般的です。栽培に最適な温度は15～25度で、高温や乾燥には弱いものの、耐寒性には優れています。土壌は水はけが良く、有機物豊富なものが望ましく、連作障害を避けるために、アブラナ科の作物が作られていない土地で育てることが推奨されます。

食用としての魅力

食用では、肥大した茎を主に使用します。質の良いものは表面にひびや傷がなく、鮮やかな色合いが魅力です。生で薄切りしてサラダや漬物として楽しむほか、加熱調理することでほのかな甘みが引き立ちます。シチューや炒め物にも適しており、一般的には日本でもカブの代わりに用いられます。

栄養価

コールラビは、キャベツに似た栄養価を持ち、特にビタミンCが豊富で、茹でても栄養が損なわれにくい点が特長です。可食部分100gあたりの熱量は約21kcalで、ビタミンB群や食物繊維、カリウムを豊富に含んでいます。カリウムは他のアブラナ科よりも多く含まれており、ダイエット食としても注目されています。

コールラビは、その独特な形状と栄養価の高さから、これからもますます注目されることでしょう。

もう一度検索