ゴイアニア被曝事故

ゴイアニア被曝事故

概要

1987年9月13日、ブラジルのゴイアニア市で発生した放射線事故は、放射線治療用機器から盗まれた放射性物質が原因で起こった。この事故では、249人が被曝し、そのうち20人が放射線障害の症状を示し、4人が亡くなった。国際原子力事象評価尺度（INES）においては、スリーマイル島原発事故と同等のレベル5と評価された。

事故の経緯

IAEAによると、事故は以下のように発生しました。

1. 放射線源の概要

廃業した放射線治療施設には、治療機器に使われる放射線源が放置されていた。元々この施設は1971年に認可されましたが、1985年に所有権が移転し、機器は放置状態になりました。放射線源は直径36.3mm、高さ47.5mmの円柱形で、内部には93グラムの137Cs（セシウム137）が封入されていました。事故当時の放射能は推定50.9TBqでした。

2. 盗難と放射能漏洩

1987年9月10～13日、ロベルト・ドス・サントス・アウヴェスとワグナー・モタ・ペレイラの2人が、廃病院に侵入し、放射線源を含む装置を盗み出しました。彼らはその装置を自宅に持ち帰りましたが、放射線漏れは見られませんでした。

しかし、13日には嘔吐の症状が現れ、14日にはワグナーにめまいや下痢が発生しました。18日にはロベルトがセルから放射線源に小さな穴を開け、中の粉を火薬だと誤解し火をつけようとしました。ここから放射能漏洩が発生しました。

3. 事故の発覚

21日には、デヴァイル・アウヴェス・フェレイラが線源容器を売却し、これがさらなる被曝につながることに。周囲の人々が光る粉末や顆粒状の物質を扱うことが次々に起こり、多くの人が被曝しました。28日には多くの体調不良者が出現し、医師たちが事態を重く受け止め、事故が発覚することになりました。

被害の影響

この事故では、重度の被曝を受けた13人が入院し、4名が命を落としました。特にガブリエラ・マリア・フェレイラは38歳で死亡し、長時間線源の近くにいたことが影響したとされています。他にも、被曝者は皮膚のトラブルや内部出血などを抱えながらも生存しました。ロベルトやワグナーは大きな人工的な身体的損傷を受け、後の生活に苦しむことになりました。

地域社会への影響

この事故の影響は、地域社会にも深刻なものでした。前年のチェルノブイリ原子力事故の記憶がまだ新しい中、ゴイアニアでは事故の報道が衝撃となり、農産物や工業製品の価格が大幅に下落しました。また、住民たちは「非汚染証明書」がないと公共交通機関や宿泊も拒否されたという事態が発生しました。

教訓

この事故からは、放射線設備の監視とトレーサビリティを強化する重要性や、医療従事者が放射線障害を常に疑う姿勢が必要であることが学ばれました。また、地域住民の協力なしに安全対策を進めることは非常に困難であるという教訓も得られました。

本事件を題材にした作品

日本のテレビシリーズ『新スタートレック』第168話「記憶喪失のアンドロイド」では、この事件を素材としたエピソードが制作されました。

この事故は単なる事件にとどまらず、放射線の危険性や地域社会に与える影響について私たちに多くの教訓を残しています。

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