ゴサインタン 神の座

ゴサインタン -神の座-

『ゴサインタン -神の座-』（ごさいんたん かみのざ）は、篠田節子が手掛けた長編小説です。本作は、1995年11月号から1996年2月号まで双葉社の『小説推理』に連載され、その後1997年に第116回直木三十五賞にノミネートされましたが、残念ながら受賞には至りませんでした。しかし、この作品は第10回山本周五郎賞にノミネートされ、真保裕一の『奪取』と共に初の2作同時受賞を果たしました。

タイトルの「ゴサインタン」という言葉は、サンスクリット語で8000メートル級の山「シシャパンマ」を指します。この山は中国名で希夏邦马峰としても知られ、本来はチベット語で呼ばれるものです。そのため、地域によって異なる名称が存在し、ネパール語では「神の住む所」とされ、シシャパンマでは「家畜が絶滅し麦も枯れる所」という対照的な意味を持ちます。

あらすじ

物語は、ある地方の大きな農家に生まれ育った若者が、謎めいたネパール人女性とお見合い結婚をすることから始まります。その女性は彼のもとにやってきましたが、彼女の行動は非常に不可解です。彼女の影響を受けて、主人公は次々と不幸な出来事に見舞われます。愛猫の死や両親の突然の訃報。そして、彼女には未来を予知する能力があると噂されるようになり、彼はその影響に振り回されていきます。

主人公は、家族や周囲の人間との関係が次第に変化し、彼自身もその渦中で多くのことを考えさせられます。この物語を通じて描かれるのは、彼の魂の転落と再生です。妻の存在により、彼は自己のアイデンティティや生と死の意味について深く考え込むようになります。彼の心の奥底から湧き上がる葛藤や、周囲の人々の変容といったテーマが、物語全体を通じて描かれています。

現在、この作品は1996年9月に双葉社から単行本として出版されており、その後も文庫版が以下のように発行されています。

• - 双葉文庫（2000年6月）、ISBN 978-4-57-550732-4
• - 文春文庫（2002年10月）、ISBN 978-4-16-760506-3

「ゴサインタン -神の座-」は、登場人物たちが直面する運命的な出会いや出来事を通じて、読む者に深い感銘を与える一作です。登場人物の心の葛藤や成長を描いたこの物語には、哲学的なテーマや人間の本質に対する鋭い洞察が盛り込まれており、読者に強い印象を残すことでしょう。

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