ゴットランド

ゴットランド：バルト海の島に息づく歴史と文化

ゴットランドは、スウェーデン本土から約90km沖合に位置する島で、古くから商業の中心地として栄えてきました。中でも、ヴィスビューは、中世にはハンザ同盟において重要な都市として知られ、ゴットランド島の歴史と文化を語る上で欠かせない存在です。

中世のゴットランド：交易と紛争

1000年頃にはほぼ設立されたヴィスビューはゴットランド島唯一の公認都市となり、活気ある交易拠点として発展しました。島には、ランズティングと呼ばれる独自の議会が存在し、島の法律やその他の重要な決定事項が審議されていました。都市ヴィスビューと島嶼部との間では、時には対立も生じ、1288年にはスウェーデン王マグヌス1世が両者の争いに終止符を打ちました。

その後も、ゴットランドはデンマーク王ヴァルデマー4世の侵攻（1361年）や、フィタリエンブリューダー（1394年）そしてチュートン騎士団（1398年）の支配を受けるなど、幾多の紛争を経験します。チュートン騎士団の支配下では、ランズティングの権威は徐々に弱体化していきました。その後、ポンメルンに売却され、1449年からはデンマークの知事による統治を受けました。中世末期には、ランズティングは農民、自由土地所有者、借地人の代表者らによって構成されていました。

スウェーデン統治下と現代のゴットランド

1645年のブレムセブルーの和議以降、ゴットランドはスウェーデンの支配下に置かれました。冷戦終結後、2005年には島に駐留していたスウェーデン軍は撤退しましたが、2014年のクリミア併合以降、ロシアからの脅威を懸念し、2017年には再び駐留が再開されました。現在では、住民有志による郷土防衛隊も島の防衛に携わっています。

ゴットランドの地理と文化

ゴットランド県はゴットランド島を単独で管轄する県で、ゴットランド地方にはゴットランド島以外にも、フォーレ島、カールセー諸島、ゴツカ・サンド島などの周辺島嶼が含まれます。ゴツカ・サンド島には国立公園も設置されています。

ヴィスビューの中世都市は、その歴史的な価値からユネスコ世界遺産に登録されています。中世の都市を囲む城壁は、当時の面影を色濃く残す印象的な建造物です。また、ゴットランドでは、クッブやヴァルパといった伝統的なゲームも現在まで受け継がれています。ゴットランドの住民は、スウェーデン語の方言であるゴットランド語を伝統的に話しています。「北のアルキメデス」と呼ばれたスウェーデンの機械物理学の父クリストフェル・プールヘムも、ヴィスビューで生まれた人物です。

ゴットランドの紋章と公爵

ゴットランドの紋章は、デンマーク軍の占領下にあった1560年に制定されました。紋章には、公爵の冠と、横向きの銀の牡羊、そして旗の付いたクロススタッフが描かれています。

1772年以降、スウェーデンの王子は、様々な地方名を冠した公爵に叙せられてきました。ゴットランド公爵には、オスカル王太子（1859～1888年）や、現在ではレオノール王女（2014年～）がその地位にあります。これらの称号は、名目上のものですが、ゴットランドの歴史と王室とのつながりを示す象徴的なものです。

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