ゴッドファーザー PART III

ゴッドファーザー PART III

『ゴッドファーザー PART III』（原題: The Godfather Part III）は、1990年に公開されたアメリカ映画であり、フランシス・フォード・コッポラが監督を務めました。この作品は、1972年の『ゴッドファーザー』、1974年の『ゴッドファーザー PART II』に続く三部作「ゴッドファーザー・シリーズ」の最終章にあたります。2020年には再編集版が制作され、『ゴッドファーザー〈最終章〉：マイケル・コルレオーネの最期』（原題: The Godfather Coda: The Death of Michael Corleone）というタイトルで新たにリリースされました。

概要

前作から16年の歳月を経て、主要スタッフとキャストが再集結し、壮大な叙事詩の終結を飾る作品となりました。物語は主人公マイケル・コルレオーネの晩年を描き、彼の過去の罪に対する懺悔と苦悩、そして悲劇的な人生の終焉が、重厚な音楽とともに描かれています。

コッポラ監督は、本作を三部作の最終作というよりも、前二部作の後日談として位置づけており、当初のタイトルも『PART III』ではなく、『コーダ：マイケル・コルレオーネの死』を予定していました。公開30周年を記念して再編集されたこの作品は、興行収入や批評において必ずしも前二作ほどの評価を得られなかったものの、再評価の動きも見られています。

あらすじ

物語は1979年のニューヨークを舞台に、ファミリーのドンとなったマイケル・コルレオーネが、父の名を冠した「ヴィトー・コルレオーネ財団」を設立し、合法的な組織運営を目指すところから始まります。バチカンからの叙勲を機に、マイケルは長年の非合法ビジネスからの引退と、合法ビジネスへの転換を計画します。しかし、バチカンとの深い関係を利用した新たなビジネス展開が、一族を新たな陰謀と抗争に巻き込むこととなります。

マイケルは、バチカンの資金運営を担うギルディ大司教との関係を深め、ヨーロッパの投資会社「インターナショナル・インモビリアーレ」の経営権獲得を画策します。しかし、マイケルの後継者として期待されていた息子アンソニーは、ファミリーのビジネスを嫌い、オペラ歌手の道を選びます。そこでマイケルは、甥のヴィンセントを後継者として育て、ファミリーの違法ビジネスを引き継がせます。

ヴィンセントと新興のボス、ジョーイ・ザザとの対立が激化する中、アトランティック・シティでの幹部会が襲撃され、多くの幹部が殺害されます。この襲撃は、マイケルの追い落としを狙うドン・アルトベッロの指示によるものでした。さらに、マイケルはバチカンとの関係を通じて「インターナショナル・インモビリアーレ」の経営権を奪おうとするも、ドン・ルケージらによって妨害され、投資した資金は横領されます。

病魔に侵されたマイケルは、ヴィンセントにアルトベッロの元へスパイとして潜入させ、一連の黒幕がルケージであることを突き止めます。ルケージとアルトベッロは、マイケルを抹殺するために殺し屋モスカを雇います。一方、マイケルは改革派のランベルト枢機卿と手を組み、バチカン内の汚職を正そうとします。シチリアに戻ったマイケルは、息子のオペラデビューを観劇するために前妻ケイと再会し、関係の修復を試みます。しかし、直後にドン・トマシーノが殺害され、マイケルは再び苦悩に陥ります。そして、マイケルはヴィンセントにゴッドファーザーの地位を譲り、引退を決意します。

アンソニーのオペラデビュー当日、マイケル一家が観劇に訪れる中、ヴィンセントはルケージ、アルトベッロ、ギルディを殺害し、マイケルの命を狙うモスカとの戦いを繰り広げます。モスカは最終的にヴィンセントによって射殺されますが、銃撃戦の中でマイケルの娘メアリーが命を落としてしまいます。娘を失ったマイケルは絶望し、その後、孤独の中で生涯を終えることとなります。

登場人物

マイケル・コルレオーネ: アル・パチーノ演じるコルレオーネ家の現家長。組織の合法化に尽力しますが、過去の罪に苦しみ続けます。
ヴィンセント・マンシーニ: アンディ・ガルシア演じるマイケルの甥。喧嘩早く衝動的な性格ですが、マイケルに忠誠を誓い、最終的にゴッドファーザーの地位を継承します。
コニー・コルレオーネ・リッツィ: タリア・シャイア演じるマイケルの妹。ファミリーの仕事に従事し、マイケルを支えます。
ケイ・アダムス・マイケルソン: ダイアン・キートン演じるマイケルの前妻。息子アンソニーを通じてマイケルと再会します。
メアリー・コルレオーネ: ソフィア・コッポラ演じるマイケルの娘。ヴィンセントと恋仲になりますが、抗争に巻き込まれて命を落とします。
アンソニー・ヴィトー・コルレオーネ: フランク・ダンブロシオ演じるマイケルの息子。ファミリーのビジネスを嫌い、オペラ歌手を目指します。

製作

コッポラ監督は、過去2作で物語を語り尽くしたと考え、続編の制作には消極的でした。しかし、経済的な苦境から脱するために、パラマウントの提案を受け入れ、続編の制作に至りました。脚本は、コッポラ監督とマリオ・プーゾが共同で執筆し、バチカン銀行のスキャンダルを物語に取り入れるなど、複雑なプロットが展開されました。

キャスティングでは、ロバート・デュバルがギャラをめぐって降板し、トム・ヘイゲンの役は物語から削除されました。メアリー・コルレオーネ役には、当初ジュリア・ロバーツが予定されていましたが、ソフィア・コッポラが代役を務めることになりました。

撮影は、ローマのチネチッタ・スタジオやシチリアのフォルツァ・ダグロなどで行われました。音楽は、ニーノ・ロータの楽曲に加えて、カーマイン・コッポラが追加作曲を行いました。

再編集版

公開30周年を記念して、コッポラ監督が再編集した『ゴッドファーザー〈最終章〉：マイケル・コルレオーネの最期』は、新たなオープニングとエンディング、音楽が加えられ、より洗練された作品として生まれ変わりました。この再編集版は、オリジナル版よりも高い評価を受け、多くの観客に再評価の機会を与えました。

公開

本作は、1990年12月25日に全米で公開され、初日の興行収入記録を塗り替えましたが、最終的な興行収入は前作に及ばず、批評家からの評価も賛否両論でした。

解説

『ゴッドファーザー PART III』は、主人公マイケル・コルレオーネの人生に終止符を打つ作品であり、彼の罪と贖罪、家族との関係、そして最終的な悲劇が描かれています。物語は、旧世界と新世界の狭間で翻弄されたマイケルの人生を象徴し、バチカンの汚職やファミリーの抗争を通じて、人間の欲望と運命を描いています。ラストシーンのオペラ劇の演出は、物語全体がオペラのような悲劇であることを示唆しています。

評価

公開当時は、批評家からの評価は賛否両論でしたが、再編集版の公開以降、その評価は見直されています。特にソフィア・コッポラの演技に対する批判は、再評価の過程で彼女のキャラクターが持つ独自の魅力を再発見するきっかけとなりました。Rotten TomatoesやMetacriticなどの評価サイトでも、再編集版はオリジナル版よりも高い評価を得ています。

栄誉

本作は、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞にノミネートされましたが、受賞には至りませんでした。ソフィア・コッポラは、ゴールデンラズベリー賞を受賞しています。

脚注、出典、関連項目、外部リンク

(省略)

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