ゴビズキンカモメ

ゴビズキンカモメ（戈壁頭巾鷗、Ichthyaetus relictus）

ゴビズキンカモメは、チドリ目カモメ科に属する鳥類で、その特徴的な形態と生態から多くの愛鳥家に注目されています。この種の鳥は、全長約44cmで、ウミネコに似た大きさの中型カモメです。

分布と季節的な移動

ゴビズキンカモメは、主に中央アジアの湖や沼地で繁殖しますが、その生息地は非常に限られています。繁殖期が終わると、冬を迎えるために韓国からベトナムへと移動し、越冬を行います。また、日本では過去に迷鳥として記録されており、1984年には大阪府、1985年には神奈川県での観察例があります。

形態の特徴

ゴビズキンカモメの外見には、特に目を引く点があります。成鳥の羽色は、背面と翼の上面が淡い青灰色であり、初列風切の部分は黒く、先端には白い斑点があります。冬羽では頭から胸、腹部にかけて白く、夏羽では特徴的に頭部が黒く、目の上下には白い斑が見られます。この頭部の黒い色合いがまるで頭巾をかぶっているように見えることから、日本名の「ゴビズキンカモメ」が付けられました。

さらに、嘴は暗赤色で、短くて太い形状をしており、脚も同じく暗赤色です。また、性別による色の違いはなく、雌雄同色です。

分類の変遷

ゴビズキンカモメは、以前はカモメ属（Larus）に分類されていましたが、2005年の分子系統研究により、この属が単系統群ではないことが明らかになりました。その結果、新たにオオズグロカモメ属（Ichthyaetus）へと再分類されました。この変更は、従来の分類体系における理解を深めるうえでも重要な出来事です。

生態と繁殖

この鳥は内陸性のカモメであり、湖沼やその周辺で繁殖する傾向があります。特に繁殖期には、人里離れた静かな湖の近くに巣を作り、その環境で育つ雛たちを育てます。非繁殖期に入ると、湖沼や河口に居住し、海洋部にはあまり姿を見せません。このため、彼らの観察は専門的な観察地で行われることが多くなります。

脚注

この鳥に関しての詳細な情報は、桐原政志の『日本の鳥550 水辺の鳥』や真木広造、大西敏一の『日本の野鳥590』などの文献に載せられています。これらの資料は、日本国内における野鳥の観察や識別に役立つ貴重な情報源です。

参考文献

• - 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年
• - 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年

関連項目

• - 日本の野鳥一覧
• - 迷鳥

このように、ゴビズキンカモメはその独特な外見と生態から、観察者にとって興味深い対象であり、今後も研究が進むことが期待されています。

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