ゴマノハグサ属

ゴマノハグサ属の概要

ゴマノハグサ属（学名：Scrophularia）は、ゴマノハグサ科に属する植物の一群です。この属には一年草や多年草、小低木が含まれ、特に根が肥大する傾向があります。茎は直立し、葉は通常対生ですが、上部では互生することもあります。葉は単葉または複葉があり、さまざまな形状を持つことが特徴です。

この属の花は、茎の先端に総状花序または円錐花序を形成し、葉腋に花序を持つこともあります。萼は鐘形で、5つの裂片が特徴です。花冠はつぼ型で長さ5-15mmあり、先端が唇形になった5裂の形状をしています。雄蕊は花筒内に4個が配置され、花冠の上唇の中央基部には仮雄蕊が1個存在します。

子房は卵形で、1つの花柱があり、先端がふくらんでいます。また果実は球形または卵形の蒴果であり、胞間裂開する特徴を持っています。種子はごく小さく、楕円形の形状をしています。

分布

ゴマノハグサ属は、日本に5〜6種類が自生しており、世界的には北半球の温帯地域に約300種が広がっています。日本で見かける種は環境に応じて分類されており、各地でその姿を確認することができます。

日本に分布する種

以下は日本に見られるゴマノハグサ属の主な種類です。これらの植物は特有の生育環境や形態を持ち、地域によって異なる景観を形成しています。

1. エゾヒナノウスツボ (Scrophularia alata A.Gray)
- 多年草で草丈は90-150cm。茎は太く、柔らかい質感を持ち、特に4つの稜と翼状のひれがあるのが特徴。花は6〜7月に咲き、主に本州や北海道、樺太に分布。

2. ゴマノハグサ (Scrophularia buergeriana Miq.)
- こちらも多年草で90-150cmの高さがあり、四角い茎と細長い花序を持ち、黄緑色の花を7月から8月にかけて咲かせます。湿った草原を好み、関東から九州にかけて広がりますが、絶滅危惧II類に指定されています。

3. ヒナノウスツボ (Scrophularia duplicatoserrata (Miq.) Makino)
- 40-100cmの草丈を持つ多年草で、7月から9月にかけて花を咲かせます。山地の林中に生育し、主に本州の西部や四国、九州で見られます。

4. ナガバヒナノウスツボ (Scrophularia duplicatoserrata var. surugensis)
- 狭い卵形の葉を持ち、花序が腋生で発達している特徴があります。主に静岡県、長野県、愛知県に分布。

5. ハマヒナノウスツボ (Scrophularia grayanoides M.Kikuchi)
- 小型の多年草で、本州北部の海岸に生育します。

6. オオヒナノウスツボ (Scrophularia kakudensis Franch.)
- 草丈が100cm程度で、日当たりのよい草地に自生します。花は8月から9月ごろに多く咲き、広範囲に分布しています。

7. ツシマヒナノウスツボ (Scrophularia kakudensis var. toyamae)

8. サツキヒナノウスツボ (Scrophularia musashiensis Bonati)
- ヒナノウスツボに似た多年草で、4月末から5月にかけて関東地方、中部地方に見られます。

これらの植物は生態系において重要な役割を果たしており、その多様性は観察者にとって魅力的な探求対象となります。

参考文献

• - 佐竹義輔、他編『日本の野生植物 草本III合弁花類』、1981年
• - 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年
• - 門田裕一監修、永田芳男写真『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』、2013年
• - 米倉浩司・梶田忠「BG Plants 和名−学名インデックス」

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