ゴヤ美術館

ゴヤ美術館の紹介

ゴヤ美術館は、フランスのタルヌ県カストルに位置し、1840年に開館した美術館です。この美術館は、スペインの著名な画家フランシスコ・デ・ゴヤにちなんで名付けられており、フランス国内ではルーヴル美術館に次ぐ規模のスペイン絵画コレクションを誇ります。

歴史的背景

美術館が設置されている建物は、もともとカストル司教宮殿でした。この宮殿は、ヴェルサイユの建築家ジュール・アルドゥアン＝マンサールによって1665年に建設が始まり、1673年に完成。フランス革命の時代には司教区が廃止され、1794年に市に売却されました。以降、宮殿は市庁舎として利用され、1840年にはその2階にカストル美術館が設立されました。最初は市が所有する9点の絵画のみが展示されていましたが、1887年には寄付や寄贈を受けて展示室が拡張されました。

当初、この美術館はフランス絵画を中心に収蔵していましたが、ある寄贈をきっかけにスペイン美術への関心が高まりました。1894年、画家マルセル・ブリギブールの息子が、父のコレクションを美術館に寄贈したことにより、ゴヤをはじめとする80点近くのスペイン絵画が加わりました。

1947年にはキュレーターのガストン・プーランがこの美術館の特性にちなんで名称をゴヤ美術館に改称しました。また、1949年にはルーヴル美術館からディエゴ・ベラスケスやバルトロメ・エステバン・ムリーリョの作品が寄託され、収蔵品がさらに充実しました。2013年にはエル・グレコの工房による作品が新たに加わりました。

改修と現代の展示

2020年7月から2023年4月にかけて、ゴヤ美術館は大規模な改修工事を実施しました。屋根やファサードの改修に加え、内部空間の再開発も行われ、展示室が広がり、照明やアクセシビリティも向上しました。また、ルーヴル美術館との提携が強化され、さまざまな作品が寄託されています。

収蔵品の多様性

現在、約200点のスペイン絵画に加え、130点以上のスペイン彫刻、約1000点の版画、約500点のフランス絵画など、総計約5000点の作品を所蔵しています。特にスペイン絵画においては、初期ルネサンスから20世紀までの幅広い作品が揃い、そのコレクションはフランス国内でも屈指のものです。

美術館の展示室には、エル・グレコやディエゴ・ベラスケスなど、スペイン黄金時代の画家たちの作品が多く展示されており、訪れる者に深い感銘を与えます。また、ゴヤの4大版画集も収蔵されており、これらは美術館の重要な資産と言えるでしょう。

フランス美術のコレクション

フランス絵画に関しては、開設当初からの古い作品群と、スペイン絵画の収集が進んだ後に加わった作品群とに分けられます。前者にはテオドール・カリュエル・ダリニーやジャック・クルトワの作品が含まれ、後者では19世紀のフランス人画家たちが描いたスペインに関連する作品が収集されています。

ゴヤ美術館は、美術愛好家や観光客にとって、スペイン絵画の魅力を体感できる貴重な場所であり、その歴史と多彩な作品の数々は、訪れる人々に深い印象を残していることでしょう。

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