ゴリアテ (兵器)

ゴリアテ (Goliath)

ゴリアテは、第二次世界大戦中にドイツの国防軍によって使用された、遠隔操作の軽爆薬運搬車両の名称です。この兵器は主に地雷の啓開、敵の固定陣地、そして軍用車両の破壊を目的に設計されました。ゴリアテは、大きく分けて電気モーター型（Sd.Kfz.302）とガソリンエンジン型（Sd.Kfz.303）の2種類が存在し、それぞれ異なる特性を持っています。最大で100kgの高性能爆薬を内蔵し、無限軌道による走行が可能で、遠くからの操作で自爆する仕組みを備えています。このような特性から、連合軍では「Tracked mine」、すなわち無限軌道式の自走地雷とも呼ばれました。

歴史的背景

ゴリアテの原型は1939年、フランスの工業デザイナーアドルフ・ケグレスによって設計され、試作が進められたものの、ドイツ軍の侵攻によって隠されてしまった。しかし、フランスが占領された後、ドイツの兵器局がこの設計図をもとに新たに開発を進め、最終的にSd.Kfz.302が完成しました。このモデルは、基本的にはケグレスの設計を引き継いでいるものの、履帯の素材がゴムから金属板に変更されました。

「Sd.Kfz.」はドイツ軍による特殊車両の番号であり、Sd.Kfz.302はあくまでも非公式に「ゴリアテ」と称されていました。その名前は、旧約聖書に登場する巨人ゴリアテに由来し、敵に立ち向かう小さな者の象徴としても使われました。

種類と性能

ゴリアテは基本的に三つのバリエーションに分けられます：

• - Sd.Kfz.302（電気モーター型）：最大60 kgの爆薬を搭載し、ボッシュ製モーターを使ってバッテリーで稼働します。
• - Sd.Kfz.303a（ガソリンエンジン型）：最大75 kgの爆薬を搭載し、走行性能が向上しました。
• - Sd.Kfz.303b（改良型）：1944年に開発され、最大100 kgの爆薬を装填可能になっています。

これらは1942年以降、主に突撃工兵部隊によって使用され、1944年のワルシャワ蜂起やノルマンディー上陸作戦でも活躍しましたが、連合軍による対処によって多くが破壊される結果となりました。

評価と課題

ゴリアテは全部で7,564台生産されたものの、兵器としてはあまり成功したとは評価されていません。その理由として、以下のような課題が挙げられます：

• - 高コスト（300ライヒスマルク）であること。
• - 移動速度が9.5 km/hと遅く、高さ11.4 cmまでの段差しか超えられない走行性能の限界。
• - ケーブルが切断されると操縦不能になる脆弱性。
• - 小銃などから容易に攻撃されうる装甲の薄さ。
• - 振動や衝撃に弱く、保守点検が難しい制御装置。

それでも、遠距離から操作可能な利点により、前線では一定の評価を得ており、特にワルシャワ蜂起では敵に対して恐怖を与えました。アニメ『ガールズ&パンツァー 最終章』や、ゲーム『コール オブ デューティ ヴァンガード』などにも登場しています。

ゴリアテはその後も類似の兵器が開発され続けましたが、技術的な進展が伴わない限り、その性能や評価は改善されなかったと言えるでしょう。

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