ゴーイング・マイ・カントリー・ウェイ

『ゴーイング・マイ・カントリー・ウェイ』 - 黒田美治

アルバム概要

『ゴーイング・マイ・カントリー・ウェイ』は、シンガー・ソングライターである黒田美治が1969年に発表したカントリーミュージックのオリジナルアルバムです。この作品は、当時の日本ビクター傘下レーベルとして知られるグリーン・シティーより世に送り出されました。日本の音楽シーンにおけるカントリーミュージックの受容と展開を知る上で、また黒田美治というアーティストの音楽性を深く理解する上で、本作は重要な位置を占める一枚と言えるでしょう。

収録楽曲

本作には、カントリーミュージックの世界で長年にわたり愛され続けている多くの名曲やスタンダードナンバーが収められています。LPレコードの各面に配された楽曲群は、当時のカントリー音楽の潮流を反映しつつ、黒田美治の独自の解釈によって歌い上げられています。

Side 1

LP盤のA面には、以下のような楽曲が収録されています。

想い出のグリーン・グラス (Green, Green Grass Of Home)
リリース・ミー (Release Me)
主よ守り給え (May The Good Lord Bless And Keep You)
壁のない牢 (A Prison Without Any Walls)
フール・サッチ・アズ・アイ (A Fool Such As I)
クライング・タイム (Crying Time)

Side 2

LP盤のB面には、引き続き人生や恋愛における様々な感情を歌った楽曲が並びます。

打明けるのが遅かったかい (Have I Told You Lately That I Love You)
アイ・キャント・ヘルプ・イット (I Can't Help It)
浮気はよしなよ (He'll Have To Go)
思い出のきずな (Chained To A Memory)
トゥゲザー・アゲイン (Together Again)
サパータイム (Suppertime)

これらの選曲からは、当時のアメリカン・カントリーの主流であったナッシュビル・サウンドの影響や、聴き馴染みのあるスタンダードを取り入れることで日本のリスナーにカントリー音楽の魅力を伝えようとする意図がうかがえます。黒田美治の歌声を通して、これらの名曲が新たな魅力を放っています。

参加ミュージシャン

本作のサウンドを支えているのは、黒田美治自身のパフォーマンスに加え、日本の音楽界で活躍した実力派ミュージシャンたちです。ライナーノーツには、制作に関わった主なメンバーとして以下の名前が記されています。

黒田美治 (唄、ギター): アルバムの中心人物であり、その情感豊かなボーカルと確かなギター演奏で、全楽曲に命を吹き込んでいます。
スリー・グレイセス (コーラス): 以下の楽曲（想い出のグリーン・グラス、主よ守り給え、クライング・タイム、アイ・キャント・ヘルプ・イット、サパータイム）に参加。彼女たちの美しいハーモニーは、特定の楽曲に奥行きと華やかさを与えています。
原田実 (スチール・ギター): 日本のカントリー/ハワイアン界の重鎮である原田実が、カントリーサウンドに不可欠なペダルスチールギターで参加しています。A面では「想い出のグリーン・グラス」「リリース・ミー」「壁のない牢」「フール・サッチ・アズ・アイ」「クライング・タイム」、B面では「アイ・キャント・ヘルプ・イット」「思い出のきずな」「トゥゲザー・アゲイン」「サパータイム」の計9曲で演奏しており、その独特の響きがアルバム全体の雰囲気を決定づけています。
鳥尾敬孝 (プロデュース): 本作のプロデュースを手掛けました。アルバム全体のコンセプト設定からサウンド作りまで、制作の要として作品をまとめ上げています。

これらの卓越したミュージシャンたちの参加により、『ゴーイング・マイ・カントリー・ウェイ』は、黒田美治の歌唱を最大限に引き出しつつ、本格的かつ質の高いカントリーサウンドを実現しています。

アルバムの意義

『ゴーイング・マイ・カントリー・ウェイ』は、1960年代後半の日本の音楽シーンにおけるカントリーミュージックの一つの成果を示す作品です。黒田美治という個性的なアーティストが、時代を超えて愛されるカントリーの名曲群を、日本を代表する演奏家たちの協力のもと制作した本作は、単なるカバーアルバムにとどまらず、日本のカントリーミュージックの歴史における一つの到達点を示すものと言えるでしょう。普遍的な歌詞の内容と心安らぐメロディは、現代のリスナーにもきっと響くはずです。カントリー音楽のファンはもちろん、温かく人間味あふれる歌声とアコースティックな響きを好む音楽愛好家にとって、再発見されるべき価値を持つ一枚です。

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*本記事は、アルバム『ゴーイング・マイ・カントリー・ウェイ』のライナーノーツを主な出典としています。

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