ゴーパカ・モッガラーナ経

ゴーパカ・モッガラーナ経（Gopakamoggallāna-sutta）

「ゴーパカ・モッガラーナ経」は、パーリ仏典経蔵の中部経典に収録された第108経です。この経典は、釈迦が入滅した後の時代に焦点を当て、アーナンダが仏教の教えを人々に伝えた様子を描写した内容となっています。これは、釈迦の重要な弟子であるアーナンダが、仏教の教えとその価値を、異なる立場にいる人たちに説明する場面を中心に展開されます。

登場人物と場面設定

物語の舞台は、マガダ国の王舎城（ラージャガハ）で、アーナンダは竹林精舎に滞在しています。この頃、アジャータサットゥ王は領土防衛のため、城壁の工事に取り組んでおり、その監督官として登場するのがモッガラーナ（目犍連）です。彼は、工事の監督をしながら托鉢に訪れたアーナンダに興味を持ち、釈迦の弟子たちの徳性について問いかけます。

モッガラーナの問いとアーナンダの回答

モッガラーナは、釈迦の弟子たちが釈迦と同等の徳を持つかどうかを尋ねます。これに対し、アーナンダは、一部の弟子たちが釈迦の持つ徳性を具えている一方で、全く同じレベルに達している者はいないと明言します。この回答は、弟子たちの精神的な修行の進展を示唆しており、釈迦の教えの深さを強調しています。

ヴァッサカーラの疑問

その後、マガダ国の大臣であるヴァッサカーラが登場し、仏教における後継者や信仰の指針についてアーナンダに質問します。彼は、釈迦の死後に弟子たちがどのように教えを守っていくのかに関心を持っていました。アーナンダは、釈迦の後継者は定まっていないことを述べ、釈迦が遺した教え…「法に拠る」ことが重要だと伝えます。

比丘たちの戒律と徳性

さらに、アーナンダは僧伽に属する比丘や比丘尼たちが布薩の際に戒律を復習し、自らを律していることを説明します。彼は、彼らの中には高い徳性を持つ者が少なくないこと、そしてそれを裏付ける十の徳性や五蓋、四禅といった教えについても触れます。これにより、仏教の共同体がどのようにその教えを継承し、実践しているのかを示しています。

結論

ヴァッサカーラはアーナンダの説明を聞いて納得し、旅立ちます。かくして、「ゴーパカ・モッガラーナ経」は、仏教の教えがどのように伝えられ、守られているのかを知る上で重要な役割を果たしています。この経典を通じて、信仰の継続性や、釈迦の教えの重要性について考えるきっかけを提供しています。

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