ゴーマニズム宣言SPECIAL ウクライナ戦争論

『ゴーマニズム宣言SPECIAL ウクライナ戦争論』は、漫画家・小林よしのり氏によって著された書籍です。2022年10月23日に第1巻、2023年3月12日に第2巻が扶桑社から出版されました。

本書は、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を背景に、小林氏が自身のブログで「左翼や平和ボケを叩き潰す」と宣言したことから執筆が開始されました。小林氏は、ウクライナ戦争を他人事のように捉え、「ロシアとウクライナはどっちもどっち」と安易に語る日本人の姿勢に対し、強い危機感を表明しています。

書籍では、国家とは何か、正義とは何かという根源的な問いを投げかけ、日本人に覚悟を促しています。著者は、過去二度の世界大戦が力の支配によって引き起こされ、その結果として核兵器の脅威が残った歴史を振り返り、人類が力の支配から法の支配へと移行しようとしてきたと指摘します。しかし、ロシアのウクライナ侵攻は、この国際秩序を根底から覆す蛮行であり、もしロシアの行動が許されるならば、国際法は無力化し、中国による台湾侵攻も現実味を帯びると警鐘を鳴らしています。

さらに、小林氏は、ロシアの行為を人類全体への攻撃と捉え、この戦争を「人類対ロシア」の構図で捉えるべきだと主張しています。第2巻では、安倍晋三元首相の銃撃事件や統一協会問題、コロナ禍における騒動といった、現代日本の社会問題とも関連付けながら、より深い考察が展開されています。

本書は、単なるウクライナ戦争の解説書ではなく、日本の国家観や国際社会における立ち位置を問い直すための重要な一冊と言えるでしょう。

書誌情報

小林よしのり『ゴーマニズム宣言SPECIAL ウクライナ戦争論』扶桑社、既刊2巻
2022年10月23日発売、ISBN 978-4-594-09326-6
* 2023年3月12日発売、ISBN 978-4-594-09415-7

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