ゴールド (ディスコ)

伝説のディスコ「GOLD」：東京クラブシーンの幕開け

1989年から1995年にかけて、東京都港区海岸三丁目、通称「芝浦」に存在した大型ディスコ「GOLD」（ゴールド）。しばしば「クラブ」とも呼ばれたこの場所は、当時の東京のナイトライフに大きな影響を与え、クラブシーンの幕開けを象徴する存在として語り継がれています。

「芝浦のGOLD」：ロケーションと愛称

「GOLD」が位置していた海岸三丁目は、行政上の地名としては「芝浦」ではありません。運河を挟んで対岸に位置していましたが、その立地から「芝浦GOLD」という通称で親しまれ、人々は「芝浦のGOLD」として認識していました。この愛称からも、当時この場所が東京のナイトライフにおいていかに特別な存在であったかがうかがえます。

倉庫から生まれた空間：佐藤俊博と都築響一のコラボレーション

「GOLD」は、倉庫を改装した7階建ての建物でした。その空間プロデュースを手掛けたのは、写真家であり編集者としても知られる都築響一氏です。彼は、既存の空間に新たな命を吹き込み、唯一無二の雰囲気を作り上げました。また、新宿ツバキハウスの店長などを務めた佐藤俊博氏がプロデュースを担当し、「GOLD」の方向性を決定づけました。

高橋透のサウンド：ハウスミュージックとガラージサウンド

音楽面では、ニューヨークで活動していた高橋透氏が開店に合わせて招聘され、メインDJ兼サウンドプロデューサーとして活躍しました。彼の選曲は、当時の東京ではまだ珍しかったハウスミュージックやガラージサウンドが中心で、最先端の音楽を提供することで、フロアを熱狂の渦に巻き込みました。高橋氏の存在は、「GOLD」の音楽的な特徴を形作る上で欠かせないものでした。

イベントと入店条件：斬新な企画

「GOLD」では、音楽だけでなく、ファッションショーなどのイベントも頻繁に開催されました。また、入店する際に「光るものを身につける」というユニークなドレスコードを設けるなど、訪れる人々を楽しませる様々な企画が実施されました。これらの試みは、「GOLD」が単なるディスコではなく、創造性溢れるカルチャーの発信地であったことを示しています。

閉店とその後：マンションへの変貌

1995年に惜しまれつつ閉店した「GOLD」ですが、建物は程なくして解体され、その跡地にはマンションが建設されました。しかし、「GOLD」が東京のクラブシーンに与えた影響は大きく、その名前は今もなお伝説として語り継がれています。

関連事項

「GOLD」と同時期に、運河を挟んだ芝浦1丁目には「ジュリアナ東京」という大型ディスコが存在しました。また、1986年から1989年にかけては、運河の対岸で「インクスティック芝浦ファクトリー（インクスティック東京）」というライブハウスが運営されており、このエリアは様々な音楽文化が交錯する場所でした。

「GOLD」は、単に音楽を聴いて踊るだけの場所ではなく、ファッションやアート、そして人々の交流が生まれる創造的な空間でした。その歴史は、東京のクラブカルチャーの発展を語る上で、決して欠かすことのできない重要な一頁です。

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