サイクロンエンジン

サイクロンエンジン（CYCLONE ENGINE）について

サイクロンエンジンは、三菱自動車工業によって開発された特異なエンジンの名称です。特にサイクロンV6についても焦点を当てながら、その歴史や特徴について詳しく見ていきましょう。

歴史

サイクロンエンジンは、1986年2月にギャランΣ/エテルナΣ、ミラージュ、ランサーフィオーレなどの車両に搭載されて初めて世に登場しました。その後、デリカスターワゴンやデリカエクシードなどにも広がりを見せました。また、1988年には三菱・スタリオンのエンジンもG63BTからG54BTへと変更された際に、この名称が使用されました。

続いて、ギャランΣ/エテルナΣやデボネアにV6エンジンを搭載し、さらに軽自動車のミニカやミニキャブには550ccの3気筒エンジンも搭載されました。サイクロンV6は、アメリカのクライスラーや韓国の現代自動車にも供給され、広範な市場で利用されることとなりました。特に、サイクロンエンジンが採用された際には、リヤガラスに竜巻を模したイラスト入りステッカーが貼られることもありました。

特徴

このエンジンの主要な特徴は、シリンダー内で竜巻のようなスワール（乱流）を生み出すことです。これは、三菱のMCA-JET技術をさらに改良したもので、SOHC2バルブ・多球形燃焼室の設計を取り入れています。また、電子制御された燃料噴射システムにはシングルポイント（ECI）やマルチポイント（ECI-MULTI）があり、燃焼効率を高めています。

従来のMCA-JETでは吸気ポート形状によるスワールの発生が限られていましたが、サイクロンエンジンはポートデザインの改善により、必ずしもジェットバルブに依存しない構造を持ち、これによって従来型のエンジンが抱えていた動弁系の複雑性や高回転時のバルブサージングといった課題を解消しました。この結果、環境性能を損なうことなく、高回転・高出力の特性を実現しました。

サイクロンエンジンは、他社のDOHC4バルブやSOHC3バルブ型エンジンに対する代替的なアプローチとして存在感を示しました。しかし、技術革新に伴い、次第にその名称の意義は薄れていきました。現在では、サイクロンエンジンの名が使われる機会は少なくなっていますが、主に商用車向けの構造には、かつてのサイクロンエンジンの概念が残されています。

代表的なエンジン

サイクロンに名を冠したエンジンの例としては、次のようなものがあります：

• - 三菱・6G7型エンジン - 国内では6G71、6G72などの初期型が存在し、海外では6G73も含まれます。
• - 三菱・3G8型エンジン - 3G81、3G83（いずれもDOHCを含む）。
• - 三菱・4G6/4D6型エンジン - G62B、G63Bなど。
• - 三菱・シリウスDASH3×2 - 横置きエンジンがサイクロンDASH3×2として改名。
• - 三菱・4G5/4D5型エンジン - G54B（ターボのみ）、4D56（ディーゼル）。

搭載車両

サイクロンエンジンが搭載された車両には、以下のようなものがあります：

• - ギャランΣ/エテルナΣ
• - ミラージュ
• - ランサーフィオーレ
• - デボネア
• - デリカ（デリカスターワゴン、デリカエクシード、ヒュンダイ・グレース）
• - パジェロ
• - ギャラン/エテルナ
• - スタリオン
• - ミニカ
• - ミニキャブ

以上のように、サイクロンエンジンは多くの車両に搭載され、その性能と技術力で自動車業界に影響を与えてきました。

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