三菱・スタリオン

スタリオン (Starion)

スタリオンは、1982年から1990年の間に三菱自動車工業が製造したクーペ型乗用車であり、独特なデザインと高いパフォーマンスで知られています。この車両は、後輪駆動のシステムと縦置きエンジンを採用しており、他のモデルと同様にギャランΛやエテルナΛのプラットフォームを共用しています。特に、スタリオンは市場において競合車種としてポルシェ・924ターボを意識し、そのデザインは北米市場をターゲットにしています。

デザインと開発の背景

スタリオンのデザインは、当初ランサーセレステの後継車として計画され、チーフデザイナーの青木秀敏によって進められました。二村正孝の言葉によると、セレステIIと呼ばれるプロトデザインがスタリオンのデザインに影響を与えたとされています。販売される車両は、ノッチバックデザインが期待されたものの、実際にはハッチバックがのみが市場に投入されました。このデザインの選定は、提携先のクライスラーの意向を受けて決定されたものでした。

また、スタリオンには日本車として初めて空冷式インタークーラーターボを装備したモデルがあり、特に2000GSR-Vや2600GSR-VRがその一例です。これにより、スタリオンは高出力とトルクを両立させ、北米市場でも人気を博しました。特に、2750回転で最大トルク32.0 kg-mを発揮する2.6 Lエンジンは、多くのユーザーに支持されました。

車名の由来

「スタリオン」という名前は、英語の「Star（星）」とギリシャ語の「Arion（アレイオーン）」を組み合わせたもので、同社はこの車両に「ヘラクレスの愛馬、アリオンが今、星になって帰ってきた」というキャッチコピーを掲げました。しかし、アメリカ市場では「スタリオン」が「種馬」と誤解されることもあったため、混乱が生じました。

導入からの進化

スタリオンは1982年に登場し、当初はGX、GSR-I、GSR-II、GSR-III、GSR-Xの5つのグレードが用意され、1983年には175 psを発生するインタークーラー装着車が追加されました。その後も新しいグレードが追加され、デザインや性能の向上が図られました。435台限定で導入された特別仕様車GSR-VRも登場し、その際にはフィルム製のウォータープルーフボディやメッシュホイールが使用されました。

モータースポーツでの活躍

モータースポーツにおいてもスタリオンは目覚ましい活躍を見せました。特にSCCA（スポーツ自動車クラブオブアメリカ）の耐久レースでは、スタリオンが数多くの勝利を収め、その名を広めました。さらに、日本国内でも全日本ツーリングカー選手権で活躍し、1985年のインターTECでの中谷明彦選手の勝利が特に知られています。また、スタリオンは独特なパフォーマンスを持つ車両として、アイコニックな存在となりました。

結論

スタリオンは、その斬新なデザインや高いパフォーマンス、そしてモータースポーツにおける名声から、多くの自動車愛好家に愛され続けているモデルです。1980年代のスポーツカーの中でも特異な存在感を放つスタリオンは、今後もその魅力を失うことなく、歴史に名を刻み続けることでしょう。

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