サイコ・イコール

サイコ・イコール

『サイコ・イコール』は、2009年に発表された日本のオリジナルビデオ作品です。監督と脚本は阿見松ノ介が務めました。

製作背景と概要

この作品を製作したのは、海外のカルト映画やB級映画を専門に販売してきたWHDジャパンです。『サイコ・イコール』は、同社が初めて自社製作で手掛けたオリジナルビデオシリーズの第一弾にあたります。近年、映画や映像作品における表現の自主規制が厳しくなる傾向にある中、本作はそうした風潮に逆行するかのように、過激な残酷描写を一切躊躇せず、むしろ積極的に描出することを製作スタンスとして掲げました。特に、映画史に残るサルバドール・ダリとルイス・ブニュエルのシュルレアリスム短編『アンダルシアの犬』で世界に衝撃を与えた目を切り裂くという象徴的な場面を彷彿とさせる描写が含まれている点は、製作側の明確な意図を示すものと言えるでしょう。

作品のジャンルとしては、限られた閉鎖的な空間を舞台に、登場人物たちが極限状況の中で様々な謎や仕掛けに立ち向かう「ソリッド・シチュエーション・スリラー」に分類されます。これは、『キューブ』や『ソウ』といった海外作品によって広く知られるようになったジャンルです。WHDジャパンは、『サイコ・イコール』の製作にあたり、「日本初! 究極のソリッド・シチュエーション・スリラー」「関西から発信出来るホラー映画」という二つのスローガンを掲げ、関西地方を中心に俳優やスタッフの募集を行いました。これは、地域に根差した映画製作を目指すとともに、新たな才能の発掘を意図したものと考えられます。

製作スタッフには、日本国内外で高く評価されたアクション映画『VERSUS』や、異色の野球映画『地獄甲子園』といった作品でその手腕を発揮した仲谷進が参加しており、本作では特殊メイクと総指揮を担当しました。彼の参加は、特に作品の特色である残酷描写や特殊効果の面において、クオリティとリアリティを高める上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

キャスト

本作に出演した主なキャストは以下の通りです。

ケン：今西洋貴
カナコ：ひがきえり
シオナ：篠崎雅美
オダ：田中大輔
アルバイト：佐藤七
喫茶店のマスター：浅尾典彦

物語の詳細は不明ですが、これらの登場人物がソリッド・シチュエーション・スリラーというジャンルの枠組みの中で、閉鎖された空間で繰り広げられる極限状態に置かれた人間ドラマを演じたと推測されます。

まとめ

『サイコ・イコール』は、カルト洋画販売で培ったWHDジャパンならではの視点から生まれたオリジナルビデオ作品であり、日本のホラー・スリラー映画界において、自主規制に縛られない表現の自由を追求した意欲的な試みとして位置づけることができます。特に、仲谷進といった経験豊富なスタッフと、関西から募集された俳優・スタッフによる製作体制は、その挑戦的な姿勢を象徴していると言えるでしょう。ソリッド・シチュエーション・スリラーとしての形式と、過激な残酷描写へのこだわりが融合した本作は、当時の日本のオリジナルビデオ市場において、異彩を放つ存在となりました。

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