サイソムブーン県

サイソムブーン県

サイソムブーン県は、ラオス北部に位置する県であり、かつてはサイソムブーン特別区として知られていました。この地域は、1994年から2006年まで特別区として存在し、その間、反政府武装勢力の活動が活発で、治安が非常に不安定な地域でした。

歴史

1994年、ラオス人民革命党政治局の決定により、シエンクアーン県、ヴィエンチャン県、ボーリカムサイ県の一部を分離してサイソムブーン特別区が設置されました。この特別区は国防省の直轄下に置かれ、軍が実質的な統治を行っていました。治安上の問題から、国道バスが武装勢力に襲撃される事件が頻発し、地域住民は常に危険にさらされていました。

特別区は、複数の郡の合併や編入を経て、2006年に廃止されました。ホーム郡とローンサーン郡は合併してヴィエンチャン県に編入され、プーン郡とサイソムブーン郡も合併してサイソムブーン郡となりました。その後、サイソムブーン郡はヴィエンチャン県に、タートーム郡はシエンクアーン県に編入され、特別区としての歴史に幕を閉じました。

しかし、2013年12月13日、サイソムブーン県は再び設置され、特別区が県として復活しました。この再編により、アヌヴォン郡が県都となり、旧ホーム郡はアヌヴォン郡とロンチェン郡に分割されました。

行政区分

サイソムブーン県は、以下の郡で構成されています。

アヌヴォン郡 (Anouvong, ອານຸວົງສ໌)
ホーム郡 (Hom, ໝື່ນ) - 旧郡で現在は分割
タートーム郡 (Thathom, ທ່າໂທມ)
ローンサーン郡 (Longsane, ລ້ອງຊານ)
ロンチェン郡 (Longcheng, ລ້ອງແຈ້ງ)

過去には、以下の郡が存在していました。

ホーム郡
サイソムブーン郡
タートーム郡
* プーン郡

地理

サイソムブーン県には、ラオス最高峰のプービア山（標高2823m）が位置しており、県内中心部から約5kmの場所にそびえ立っています。この山岳地帯は、県の自然景観を特徴づける重要な要素となっています。

経済

サイソムブーン県は、ラオス国内でも経済的に遅れた地域の一つです。2013/14年度のデータでは、GDP成長率は5.5%、一人あたりGDPは990ドルでした。県経済は農業、特に焼畑農業による陸稲栽培に大きく依存しており、農業セクターがGDPの47.74%を占めています。工業セクターは26.39%、サービスセクターは25.87%です。

しかし、水資源が豊富なことから、水力発電ダムの開発が積極的に進められています。ナムリックダムやナムグム2ダムなど、既に676MWの発電容量が完成しており、今後も複数のダム建設が計画されています。

貧困問題も深刻であり、2014年のデータでは、貧困世帯が全体の18.07%を占めています。

民族構成

県内には、モン族が60%と最も多く、次いで低地ラーオ族が26%、カム族が18%を占めています。多様な民族が共存している地域です。

政治

2013年12月31日には、ソムバット・イェイリフー氏が初代県知事に就任しました。また、2014年には第18選挙区が設置され、他の選挙区から4名の国会議員が異動して、サイソムブーン県を代表する議員となりました。

観光

サイソムブーン県には、プービア山やその麓にあるアヌヴォン王洞窟などの自然豊かな観光資源があります。また、ロンチェンなど、過去の秘密戦争時代の戦跡も観光スポットとして注目されています。

2015年からは観光年が開始される予定であり、観光振興に力が入れられています。

治安

サイソムブーン県は、ラオスの中でも最も治安が不安定な地域の一つです。特に、国道1D号線を除いた地域では、反政府武装勢力の活動が確認されており、不測の事態に巻き込まれるリスクがあります。また、県北部の山岳地帯は依然として治安状況が不透明であり、注意が必要です。

過去には、武装勢力とラオス人民軍との間で戦闘が発生したり、バスやバスターミナルを狙った爆発事件や襲撃事件が起きています。首都ヴィエンチャンでは、置き引き、侵入盗、ひったくりといった犯罪が多発しており、最近では銃器を使った犯罪も増加傾向にあります。

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