ラオス人民軍

ラオス人民軍

ラオス人民軍（ラーオ語: ກອງທັບປະຊາຊົນລາວ）は、ラオス人民民主共和国の国軍であり、ラオス人民革命党の統制下にある「党の軍隊」としての性格を強く持っています。その起源は、ラオス内戦において左派勢力として活動したパテート・ラーオに遡ります。

概要

ラオスは世界でも最貧国の一つであり、ラオス人民軍も小規模で、資金や装備は不足しています。装備の大部分は旧ソ連から供与されたもので、老朽化が進んでおり、戦力の低下が懸念されています。しかしながら、国防省は森林伐採や鉱山開発などの事業を行う公社を所有しており、軍出身者が国家機構の中枢を占めるなど、政治的、経済的に強い影響力を持っています。

歴史

ラオス人民軍の前身は、ラオス内戦で王政を打倒した左派軍事組織パテート・ラーオです。1950年にネオ・ラーオ・イサラ（ラオス自由戦線）の軍事組織として編成され、1956年にネオ・ラーオ・ハクサート（ラオス愛国戦線）の戦闘部隊となりました。1965年にはラオス人民解放軍と改称されましたが、国際的にはパテート・ラーオと呼ばれ続けました。1975年のラオス人民民主共和国建国に伴い、旧ラオス王国軍は解散し、ラオス人民解放軍が国軍となりました。1982年に現在のラオス人民軍に改称されました。

組織

憲法の規定により、ラオス人民民主共和国主席がラオス人民軍の最高司令官となります。国防省が軍事行政を担い、ラオス人民革命党中央国防・治安委員会が軍の最高指導機関として機能します。軍の政治総局は党中央委員会政治局の統制下に置かれています。ラオス人民軍は陸軍と空軍で構成されており、内陸国であるため海軍は存在しませんが、陸軍が河川部隊を指揮しています。

陸軍

陸軍はラオス人民軍の主力であり、国土防衛の中核を担っています。河川部隊も陸軍の指揮下に入り、国内の水路の安全確保に貢献しています。

空軍

空軍は輸送機やヘリコプターを中心に保有しており、人員輸送や物資輸送、災害救助活動などで活躍しています。しかし、全体的に機材の老朽化が進んでおり、近代化が課題となっています。

装備

ラオス人民軍の装備は、旧ソ連製や中国製が中心です。特に、旧ソ連から供与された装備は老朽化が深刻で、代替が急務となっています。以下に主な装備をまとめます。

車両

PT-76水陸両用戦車（ソビエト連邦製）：25両
T-54/T-55戦車（ソビエト連邦製）：30両
BTR-60P装甲兵員輸送車（ソビエト連邦製）：70両
T-72B1MS戦車（ロシア製）：両数不明（T-34と交換で導入）

火器

マカロフ PM拳銃（ソビエト連邦製）
AK-47自動小銃（ソビエト連邦製）
AMD-65自動小銃（ハンガリー製）
SKSカービン（ソビエト連邦製）
56式半自動歩槍（中華人民共和国製）
56式自動歩槍（中華人民共和国製）
97式自動歩槍（中華人民共和国製）
Z111 ACE31/32 （ベトナム）
MAT 49短機関銃（フランス製）
RPG-2 ロケットランチャー（ソビエト連邦製）
RPG-7 ロケットランチャー（ソビエト連邦製）
69式ロケットランチャー（中華人民共和国製）
ストレラ2携帯式防空ミサイルシステム（ソビエト連邦製）
M16A1自動小銃（アメリカ合衆国製）
M60機関銃（アメリカ合衆国製）
RPD軽機関銃（ソビエト連邦製）
PK汎用機関銃（ソビエト連邦製）

航空機

An-2 コルト輸送機（ソビエト連邦製）：10機
An-24 コーク輸送機（ソビエト連邦製）：3機
Yak-40輸送機（ソビエト連邦製）：2機
Ka-32T ヘリックスC汎用ヘリコプター（ソビエト連邦製）：6機
Mi-6 フック汎用ヘリコプター（ソビエト連邦製）：1機
Mi-8 ヒップ汎用ヘリコプター（ソビエト連邦製）：9機
Mi-17 ヒップH汎用ヘリコプター（ソビエト連邦製）：12機
* Z-9 ハイツン汎用ヘリコプター（中華人民共和国製）：1機

まとめ

ラオス人民軍は、政治的、経済的に大きな影響力を持つ一方で、装備の老朽化や資金不足といった課題を抱えています。今後、これらの課題をどのように克服していくかが注目されます。

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