サイドナヤ刑務所

サイドナヤ刑務所の概要

サイドナヤ刑務所（アラビア語: سجن صيدنايا‎）は、シリアのダマスカス近郊に位置する軍事刑務所であり、常に1,000人以上の政治犯を収容しています。ここには、ムスリム同胞団のメンバーや、その他のイスラム主義者が含まれています。この施設は非人道的な取り扱いと、さまざまな人権侵害が報告されているため、悲劇的な象徴とも言えます。

暴動と人権侵害

2008年7月、同刑務所内で暴動が発生し、数百人の収容者が負傷、さらには多くのイスラム主義者が命を落としたとされます。
また、2017年2月、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、2011年9月から2015年12月の間に同刑務所で5,000人から13,000人が違法に絞首刑にされたという衝撃的な報告を行いました。

2011年に起こった反政府デモの数カ月後、シリア政府はさまざまな恩赦を実施しました。これにより、多くのイスラム主義者が釈放されました。その中には、ザフラーン・アッルーシュやアフマド・アブー・イーサといった有名な受刑者も含まれています。彼らは釈放後、シリア内戦においてジャイシュ・アル＝イスラームやシャーム自由人イスラム運動といった反政府グループを指導しています。

また、サイドナヤを含むシリアの刑務所では、拷問、栄養失調、そして独裁的な裁判を経ずに執行される死刑など、非人道的な行為が繰り返し報告されています。これらの事例は、シリア政府の人権侵害を際立たせるものとなっています。

死体の処理問題

2017年5月15日、アメリカ合衆国は、サイドナヤ刑務所内に遺体を処理するための火葬場が設置されているとの情報をもとに、シリア政府を非難しました。この事実が、さらなる国際的な関心を呼び起こしました。

収監された著名人

過去には、以下のような著名な政治犯がサイドナヤ刑務所に収監されていました：

• - ザフラーン・アッルーシュ（ジャイシュ・アル＝イスラム元リーダー）
• - ハッサーン・アッブード（シャーム自由人イスラム運動元リーダー）
• - アブー・ヤヒヤー・アル＝ハマウィー（シャーム自由人イスラム運動元リーダー）
• - アフマド・アブー・イーサ（スクール・アッ＝シャーム旅団のリーダー）
• - アブー・ムハンマド・アル＝アドナーニー（イスラム国元リーダー、スポークスパーソン）
• - アブー・ルクマーン（ラッカを統治していたISISメンバー）
• - ハイサム・アル＝マーリフ（イスラム主義の反体制活動家、弁護士）

これらの事例は、サイドナヤ刑務所がどれほどの人権侵害の現場であるかを物語るものであり、この場所が持つ重要性は人道問題の観点からも極めて大きいと言えます。サイドナヤ刑務所は、単なる刑務所ではなく、シリアにおける深刻な人権侵害が行われている象徴として、国際社会からの注視が必要です。

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