サイモン・イェーツ

サイモン・フィリップ・イェーツ：不屈の精神で道を切り開く英国人プロロードレーサー

サイモン・フィリップ・イェーツ（Simon Philip Yates、1992年8月7日生まれ）は、イギリス、グレーター・マンチェスター州ベリー出身の才能ある自転車競技選手です。双子の弟、アダム・イェーツもまたプロの自転車競技選手として活躍しています。

トラック競技からロードレースへ

イェーツは、早くからイギリスの若手育成プログラムに参加し、トラックレースでその才能を開花させました。特にトラック世界選手権のポイントレースでの活躍は目覚ましいものでした。その後、ロードレースへと転向し、数々の輝かしい成績を収めています。

プロとしてのキャリア

2014年、イェーツはチーム・スカイへの加入が有力視されていましたが、最終的にはオリカ・グリーンエッジ（現チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ）と契約し、プロデビューを果たしました。この決断には、選手層の厚いチームでの出場機会の減少を避けることと、弟のアダムと共に活動したいという希望がありました。

2015年、アダムと共にツール・ド・フランスに初出場。2016年には、ドーピング検査で陽性反応が検出されましたが、これはチームドクターの過失によるもので、4ヶ月の資格停止処分にとどまりました。同年、ブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージでは、見事な独走勝利を飾りました。

2017年のツール・ド・フランスでは、前年のアダムに続き、ヤングライダー賞を獲得。着実に力をつけていることを証明しました。

ジロ・デ・イタリアでの躍進とブエルタ制覇

2018年のジロ・デ・イタリアでは、第6ステージで2位に入り、イギリス人として4人目のマリア・ローザ（総合首位の証）を獲得。その後も、第8、11、15ステージで区間優勝を重ね、総合優勝への期待が高まりました。しかし、チーマコッピ（大会最高地点）となるフィネストレ峠を越える第19ステージで大きく失速し、総合10位圏外へと後退しました。

同年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、ジロでの失速を教訓に、慎重かつ着実な走りを見せました。第14ステージで区間優勝を果たし、その他のステージでも安定した成績を収め、見事総合優勝を成し遂げました。また、この年のUCIワールドツアー年間総合ランキングでは1位を獲得しています。

グランツール全制覇への挑戦

2019年、イェーツは「やり残した仕事をやり遂げるため」としてジロ・デ・イタリアに出場し、総合8位という結果に終わりました。しかし、続くツール・ド・フランスでは第12ステージで勝利を挙げ、自身初のツール区間優勝を飾るとともに、全グランツールでの区間優勝を達成しました。さらに、第15ステージでも勝利し、同大会2勝目を挙げました。

近年の活躍

2020年には、ティレーノ～アドリアティコで総合優勝を果たし、その実力を改めて示しました。2021年のツアー・オブ・ジ・アルプスでも総合優勝。ジロ・デ・イタリアでは総合3位に入り、表彰台に上りました。2023年のツール・ド・フランスでは、総合4位と健闘しています。

主な戦績

2010年 ジュニア世界選手権自転車競技大会 優勝（マディソン）、2位（団体追抜）
2013年 トラックレース世界選手権 優勝（ポイントレース）
2018年 ブエルタ・ア・エスパーニャ 総合優勝
2018年 UCIワールドツアー 年間総合優勝
2020年 ティレーノ～アドリアティコ 総合優勝
2021年 ツアー・オブ・ジ・アルプス 総合優勝

サイモン・イェーツは、不屈の精神と努力で数々の困難を乗り越え、常に高みを目指し続ける偉大なロードレーサーです。今後の活躍にも目が離せません。

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