マリア・ローザ

マリア・ローザは、自転車ロードレースの祭典、ジロ・デ・イタリアにおいて、総合首位の証として選手が着用する、薔薇色（ピンク色）のリーダージャージです。各ステージのタイムを合計し、最も所要時間の少ない選手が、その栄誉あるジャージを身にまとう資格を得ます。そして、最終ステージを終えた時点でマリア・ローザを着用している選手が、その年のジロ・デ・イタリアの総合優勝者となるのです。

1931年に初めて登場したこのジャージは、ツール・ド・フランスのマイヨ・ジョーヌと同様に、その色合いが主催者であるスポーツ新聞『ガゼッタ・デロ・スポルト』の紙面の色に由来しています。誕生当初は、胸元に大きく「ガゼッタ」の文字が配されていました。長年にわたり、製菓メーカーのフェレロが製造する果汁入り紅茶飲料「エスタテ」がジャージのスポンサーを務めていましたが、2013年以降はピエモンテ州の製菓メーカー「バロッコ」がスポンサーとなり、2016年からはエネルギー会社のEnel（エネル）がその役割を引き継いでいます。

マリア・ローザは、単なるジャージ以上の意味を持ちます。それは、ジロ・デ・イタリアという過酷なレースを象徴するものであり、選手たちの努力、戦略、そして勝利への渇望を体現するアイコンなのです。このジャージを着用することは、選手にとって大きな名誉であり、同時に、総合優勝という重圧を背負うことを意味します。毎日のレース展開によって、マリア・ローザの所有者は入れ替わり、手に汗握る攻防が繰り広げられます。最終的に、ローマのゴールラインを最初に通過し、マリア・ローザを着用している選手が、ジロ・デ・イタリアの歴史に名を刻むことになります。

関連情報：
ジロ・デ・イタリア：イタリアを舞台とするグランツール（世界三大ロードレース）の一つ。
マリア・ロッソ・パッショーネ：ジロ・デ・イタリアのポイント賞ジャージ。
マリア・アッズーラ：ジロ・デ・イタリアの山岳賞ジャージ。
マリア・ビアンカ：ジロ・デ・イタリアの新人賞ジャージ。
ツール・ド・フランス：フランスを舞台とするグランツール。
マイヨ・ジョーヌ：ツール・ド・フランスの個人総合時間賞ジャージ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ：スペインを舞台とするグランツール。
マイヨ・ロホ：ブエルタ・ア・エスパーニャの個人総合時間賞ジャージ。
世界選手権自転車競技大会：自転車競技の世界一を決定する大会。
マイヨ・アルカンシエル：世界選手権自転車競技大会の優勝者が着用するジャージ。

もう一度検索