サイモン・ロディアとは？意味をやさしく解説

サイモン・ロディア

サイモン・ロディア（Simon Rodia）、本名サバト・ロディア（Sabato Rodia）は、1879年2月12日にイタリアで生まれ、1965年 7月16日に亡くなった人物です。彼はアメリカ合衆国への移民であり、その人生の大半をカリフォルニア州ロサンゼルスで過ごしました。特に、ロサンゼルスの貧困地域であるワッツ地区で、独力で「ワッツ・タワー」と呼ばれる巨大な建造物を建設したことで知られています。親しい人々からは「サム」という愛称で呼ばれていました。

生い立ちとアメリカへの移住

ロディアはイタリアのナポリ近郊のセリーノという町で生まれました。15歳の時にアメリカに移住し、ペンシルベニア州に住む兄を頼りました。しかし、兄が鉱山事故で亡くなった後、ロディアは一人で西海岸へと移動し、シアトルやオークランドなど様々な場所を転々としながら、鉱山や建設現場で働きました。1920年からはワッツで日雇いの左官として働き始めましたが、1921年に突如として自分の土地に塔を建て始めます。

ワッツ・タワーの建設

ロディアは建築に関する専門的な教育を全く受けていませんでした。彼は全てを見よう見まねで学び、溶接されていない鉄筋をセメントで固め、ゴミ捨て場から拾ってきたセブンアップの瓶や色鮮やかなタイルの破片をセメントに埋め込み、独力で14本の塔を建設しました。最も高い塔は30メートルにも達します。

ロディア自身は、この塔の集合体をスペイン語で「Nuestro Pueblo」（私たちの町）と呼んでいました。なぜ塔を建てたのかと問われた際には、「何か大きなことを成し遂げるべきだと感じた。だからやった」と答えたと言われています。彼は1954年に塔の建設を終え、土地を近隣の人々に譲り、ワッツを去りました。ワッツを離れた理由は、塔に対する子供たちの嫌がらせや近隣住民からの苦情など、地域とのトラブルに疲弊したためでした。

ワッツを離れてからの生活

ワッツを去ったロディアは、カリフォルニア州マルティネスに移住し、亡くなるまでの10年間をそこで過ごしました。シアトルに住んでいた頃に結婚し、3人の子供がいましたが、ワッツでの生活は孤独で、親しい友人は誰もいませんでした。彼はワッツを去ってから、自分の塔を二度と見ることはなかったとされています。

マルティネスの墓地に埋葬された彼の墓石には、「サム・ロディア 1875-1965」と刻まれています。生年が1875年と記されているのは、誤りであると考えられています。

ワッツ・タワーの保存と評価

ロサンゼルス市は当初、この塔を許可されていない建築物として取り壊そうとしました。しかし、その芸術的価値に注目した映画業界の関係者、美術研究者、建築家らの尽力により、塔は守られました。1990年にはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定され、ワッツ地区を舞台にしたテレビ番組や映画には欠かせない風景として親しまれています。

その他

ロディアの姓は「ロデラ（Rodella）」や「ロディラ（Rodilla）」だったという説や、名前もサバトではなく「サバティーノ（Sabatino）」だったという説も存在します。しかし、これらの説は広く受け入れられていません。彼の名前自体が、移民手続きの際の綴りの誤りであった可能性も指摘されています。

ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』には、ロディアの写真が掲載されています（最上段の右から2番目、ボブ・ディランの左隣）。

現在、ワッツ地区には彼の名を冠したサイモン・ロディア高校（Simon Rodia High School）があります。

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