左官

左官（さかん）について

左官とは、建物の壁や床、土塀をこてで塗り仕上げる職人や、その技術を指します。この技術は日本の伝統的な建築文化に根ざしたものであり、しばしば「しゃかん」とも呼ばれます。特に2020年には、「伝統建築工匠の技」としてユネスコの無形文化遺産に登録され、日本壁がその一部として評価されています。

左官壁の概要と素材

左官壁は、石灰、土、砂、自然繊維などの自然素材を用いて仕上げます。これらの素材を使った左右の加工が行われることで、様々な仕上げが可能です。代表的な左官壁には漆喰壁があり、これを作るためには鉱物質の粉末と水を練り合わせたプラスターや、生石灰と水を混ぜた生石灰クリームが使用されます。また、樹脂リシン壁や聚楽壁などもあり、これらは吹き付け技術を用いて仕上げられます。

左官工事では主に鏝（こて）が用いられますが、日本では特に剣先型と呼ばれる独特の形状が重宝されています。左官壁の最大の利点は、光沢や rough なテクスチャ、さらには室内の調湿や脱臭効果が期待できることにあります。また、重ね塗りを行うことで断熱性や保温性も向上します。

一方で、欠点も存在します。施工と乾燥には時間と手間がかかり、職人の技術差が結果に大きく影響するからです。気候や下地の状態によっては左官壁が不適切な場合もあります。

日本建築と左官

日本は、湿度の高い気候特性のため、左官技術が特に重要とされています。日本建築の壁は、藁を混ぜた土壁や、消石灰と麻を用いた漆喰で作られ、これらが湿気調整に重要な役割を果たしています。伝統的な構造物では、左官職人の優れた技が見られ、入江長八のようなマスターは、技術を芸術的なレベルにまで昇華させました。

明治時代以降、洋風建築の登場により、左官の技術はモルタルの塗布にも広がりを見せました。高度経済成長期には、鉄筋コンクリート構造の増加で需要が高まり、多くの職人が活動していました。しかし、近年は建設工期の短縮や新しい建材の普及から、左官業界は減少傾向にあります。

近年の復興と左官技術

最近では、天然素材を使った左官仕上げの再評価が進んでおり、特に和モダンな建築スタイルでは多く採用されています。このように、左官は美しさと技術の両面で重要な位置を築いています。

左官技術は、戸建て住宅や寺社工事を手がける職人や、ビル、マンション向けの専門家に分かれています。新しい流れとして、床の仕上げを専門とする職人も増えています。

左官の仕上げ技法

左官の仕上げ方法には掻落し（かきおとし）などがあり、これは表面をこてやブラシで掻き落とし、粗面を形成する技法です。

左官の歴史と語源

「左官」という言葉は、宮中の営繕職人に由来するとされ、建久元年（1190年）にはすでに存在していた職種です。最初は「沙官」や「沙翫」と表記されていましたが、桃山時代から本格的に左官としての使用が見受けられるようになりました。

左官に関する職業訓練

現在、日本各地では左官技術を学ぶための専門職業訓練校が存在し、職人を育成する取り組みが行われています。これらの施設は、左官業界の発展に寄与し続けています。それでは、左官の未来に期待される技術の進化を見守っていきたいと思います。

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