サインペン

サインペン

サインペンは、水性インクを使用したフェルトペンの一種です。ペン先にはアクリル繊維などの繊維質が用いられ、毛細管現象を利用してインクが供給される仕組みは油性ペンと共通しています。しかし、水性インク特有の滑らかな書き味が大きな特徴です。

歴史

サインペンの歴史は、1960年にぺんてる（当時は大日本文具）が発売した「ぺんてるペン」に遡ります。これはフェルトペン先を採用した油性ペンで、当時の主流であったマジックインキ（寺西化学工業）が太字しか書けなかったのに対し、細字を書けるように改良したものでした。しかし、油性インクには紙への滲みや裏写りといった欠点がありました。

この欠点を克服するために開発されたのが、1963年に発売された水性インクの「ぺんてるサインペン」です。発売当初、国内での売れ行きは伸び悩んでいましたが、翌年、シカゴの文具国際見本市に出展した際に配布されたサンプルが、アメリカのジョンソン大統領の目に留まりました。

大統領がその書き味を気に入ったことから、24ダース（288本）もの大量注文が入りました。この出来事が報道されると、サインペンはたちまち大統領の愛用品として人気が爆発し、全米で注文が殺到しました。その結果、1ヶ月で180万本を売り上げるという驚異的な記録を達成しました。この人気は日本にも波及し、サインペンは広く一般に浸透していきました。

サインペンは、その優れた性能から宇宙開発にも貢献しました。1965年、NASAの有人宇宙飛行計画「ジェミニ計画」において、ジェミニ6号と7号のランデブーの際に宇宙飛行士が使用する筆記具として採用されました。無重力状態でもインク漏れやインク切れを起こすことなく筆記できる点が評価されました。

現在

サインペンは、その普及とともに紙への筆記に特化したフェルトペン（またはマーカーペン）を指す商品名として、一般名詞化しました。現在では、多くの筆記具メーカーから「サインペン」として様々な商品が販売されています。

特徴

• - 水性インク: 滑らかな書き味で、紙への滲みが少ない。
• - フェルトペン先: 細い線から太い線まで、筆記角度によって表現を変えることができる。
• - 携帯性: 軽量で持ち運びが容易。
• - 用途: サイン、イラスト、筆記など、幅広い用途に利用できる。

参考文献

• - 宇宙へ旅立ったサインペン
• - ぺんてるサインペン　ニッポン・ロングセラー考（COMZINE by nttコムウェア）
• - Every Product Tells a Story - Pentel’s Sign Pen - サインペンの発祥を紹介したマンガ。

関連項目

• - フェルトペン
• - 水性マーカー

外部リンク

• - サインペン（ぺんてる）
• - サインペン & マーカー（ぺんてる カナダ）

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