サウスパシフィック・チャンピオンシップ

サウスパシフィック・チャンピオンシップ

サウスパシフィック・チャンピオンシップ（South Pacific Championship, 略称: SPC）は、かつて南太平洋地域で開催されていた国際ラグビーユニオン大会です。今日のスーパーラグビーの前身にあたる大会として知られています。

概要

この大会は、オーストラリア国内におけるラグビーリーグ（13人制）の隆盛に対抗し、ラグビーユニオンへの関心を高める目的で、ニューサウスウェールズラグビー協会（NSWRU）によって企画・主催されました。参加チームは招待制がとられ、オーストラリアから2チーム、ニュージーランドから3チーム、フィジーから1チームの合計6チームによって争われました。

具体的には、オーストラリアからは国内トップレベルのチームであるニューサウスウェールズとクイーンズランド、ニュージーランドからは国内最高峰の州代表チームであるオークランド、カンタベリー、そしてウェリントンが選ばれました。さらに、太平洋諸島屈指のラグビー強豪国として国際的な実績を持つフィジーの代表チームが招待チームに名を連ねました。これらのチームは、それぞれの国・地域におけるラグビーユニオンの中心的な存在でした。

大会方式は、参加する全6チームが一度ずつ対戦する1回戦総当たり形式で実施されました。各チームは合計5試合を戦い、その総当たり戦の成績に基づいて最終順位が決定されました。現在の多くのラグビー大会に見られるような、上位チームによるプレーオフ形式の優勝決定戦は行われませんでした。

歴史と発展

サウスパシフィック・チャンピオンシップは、1986年に第1回大会が開催され、1990年まで「サウスパシフィック・チャンピオンシップ」の名称で計5シーズンにわたり開催されました。この初期の期間において、ニュージーランドのオークランドが圧倒的な強さを見せつけ、1987年から1990年まで4連覇という前人未到の偉業を達成しています。

しかし、主催者であるNSWRUの財政的な困難に直面し、1991年の大会開催は見送られることとなりました。ラグビーファンが大会の再開を待つ中、翌1992年には、名称を「スーパー6」と改めて大会は復活を果たしました。このスーパー6として開催された大会では、オーストラリアのクイーンズランドが優勝を飾り、オーストラリア勢として初めてこの大会のチャンピオンの座に就きました。

スーパー6として開催されたのはこの1年のみであり、大会はその後さらなる拡大の道を辿ります。1993年からは南アフリカや、トンガ、サモアといった他の太平洋諸島からもチームが参加するようになり、大会規模が拡大され、「スーパー10」へと発展しました。この大会の拡大は、後にラグビーユニオンが国際的にプロ化される大きな流れ（1995年施行）とも軌を一にするものでした。スーパー10を経て、大会はさらに発展を続け、参加チーム数を12に増やし、今日の「スーパー12」、すなわちスーパーラグビーの原型へと1996年に引き継がれました。

このように、サウスパシフィック・チャンピオンシップは、南太平洋地域のラグビーユニオン強豪チームが一堂に会する初期の試みであり、その後のスーパーラグビーという世界的なプロリーグの創設に向けた重要な基礎を築いた、歴史的な意義を持つ大会と言えるでしょう。

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