サウレ

サウレ：バルト神話の太陽神

サウレ（Saulė/Saule）は、リトアニアとラトビアで信仰される太陽の女神です。リトアニア語とラトビア語で「太陽」を意味する言葉そのものであり、バルト祖語の「Sauliā」に由来します。

特徴

サウレは、バルト神話において最も力を持つ神の一柱とされ、生命、豊穣、温暖、そして健康を司ります。特に、孤児のような不遇な人々を守護するとされています。リトアニア語とラトビア語で「世界」を意味する「pasaulis/pasaule」は、「太陽の下（の場所）」と解釈されることからも、サウレが人々の生活においていかに重要な存在であったかが伺えます。

神話

サウレに関する神話は、古くから様々な形で語り継がれています。

太陽の創造: 鍛冶神であるTeliavelisが太陽を作り、空に投げ入れたという話が残っています。
塔からの救出: 強力な王によって塔に幽閉されたサウレが、十二宮の力によって救出されるという物語も存在します。

家族

サウレは、月の神であるメーヌオ（リトアニア神話）/メーネス（ラトビア神話）の妻です。しかし、メーヌオが明けの明星であるアウシュリネに恋をしたため、雷神ペルクナスによって罰せられたという神話があります。罰の内容は諸説あり、メーヌオが真っ二つにされる、サウレとメーヌオが離婚するなど、様々なバージョンが存在します。また、サウレはアウシュリネを娘または召使として持つとされ、宵の明星であるヴァカリネは、夜にサウレの寝床を準備するとされています。さらに、木星、土星、火星、水星の女神たちの母であるとも伝えられています。

祝祭

サウレを称える祭りは、夏至祭を起源とするリトアニアのラソス（聖ヨハネ祭）やラトビアのリーゴ（聖ヨハネ祭）として知られています。これらの祭りでは、花輪を作り、シダの花を探し、かがり火を焚いて踊り、火を飛び越えるなどして、日の出を迎えます。冬至はサウレの帰還を祝う祭りであり、リトアニアのクーチョスやラトビアのジemaassvētkiとして、クリスマスに吸収されました。その他、春分や秋分にも祭りが開催されていました。

サウレは、バルトの人々にとって、太陽の恵みをもたらす偉大な女神として、そして生活の中心として、深く信仰されていたのです。

参考文献

プルーエンス・ジョーンズ、ナイジェル・ペニック著『ヨーロッパ異教史』pp.277-278.

関連項目

リトアニアの宗教#信奉されていた神々とそれにまつわる神話
* ザルティス

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