ササゲ

ササゲ（大角豆）についての詳細

ササゲ（学名：Vigna unguiculata、英名：Black-eyed pea）は、ササゲ属に属する一年草で、アフリカ中部が原産地とされています。この植物は旧世界の温暖な地域で広く栽培されており、特に日本やアジア、アフリカ、アメリカで人気があります。形状は低木状で、直立したものや匍匐性のものが存在し、つる性のタイプやつるなしのタイプもあるため、成育の仕方は多様です。日本では「ササギ」とも呼ばれています。

特徴

ササゲの名前はいくつかの説があります。莢が上を向いている様子が「ささげる」という手つきに似ていることや、莢の形が角張っていることから、または「細々牙」という名前がつけられたという説があります。花の色は藤色や紫、ピンクなど多彩で、蝶のような形状をしています。

莢の長さは10～30cmで、豆の大きさは約1cmで、形は腎臓型です。色も赤褐色や白、黒、淡褐色、紫色などあり、特に白い豆は中心部に黒い斑点があり、「ブラック・アイ・ピー」と呼ばれています。つる性のものは草丈が2～4mに達するのに対し、つるなしタイプは30～40cmほどであり、特に品種「ナガササゲ」は最大で100cm成長します。ササゲは耐寒性が低いものの、高温に非常に強い特性があります。

また、ササゲの果実はカメムシに食害されることがありますが、莢の付け根には蜜が出る場所があり、これがアリを引き寄せます。大型のクロヤマアリはカメムシを攻撃することが研究で証明されており、結果的にササゲの実を守る役割を果たしています。

歴史

ササゲに関する記録は日本の平安時代に遡りますが、その名が「大角豆」として残されています。江戸時代の文献『農業全書』には「豇豆」と記載されており、多くの品種や栽培方法が記されています。特に江戸時代の武士の間では、赤飯に小豆の代わりにササゲが使用されることがありました。小豆は水に浸すと胴切れしやすく、いわゆる「切腹」に関する迷信から、関東地方でこの豆が好まれるようになったのです。

ササゲを使った料理

ササゲは様々な料理に利用されます。特に、莢が膨らむ前の若い実を切り、豚肉や人参と共に炒め、醤油で味付けしたり、味噌汁の具材や胡麻和えとしても使われます。南アメリカではササゲは繁栄と幸運をもたらす食材と見なされ、正月に食べられる風習があります。

さらに、ササゲを用いた有名な料理の一つに「ホッピン・ジョン」があります。これは、加熱したササゲに微塵切りのニンニクやビネグレットソースを添えた料理です。その他にも、豚肉や米、玉ねぎと一緒に煮込む料理も広まりました。赤飯の中では、ササゲが多く用いられ、特に武士にとっては縁起が良いとされました。

その他のササゲの利用法

ササゲを使った郷土料理としては、福井県の「とびつき団子」があり、団子にササゲをまぶした料理です。ササゲは、低農薬・有機的な栽培方法でも育てやすく、地域の食文化を形成する重要な要素でもあります。

栽培品種

ササゲは以下のような亜種や品種で栽培されています。

• - Vigna unguiculata subsp. unguiculata（Southern pea, Black-eyed pea）
• - V. u. subsp. cylindrica（Catjang）
• - V. u. subsp. dekindtiana（野生種）
• - V. u. subsp. sesquipedalis（Yardlong bean）

このように、ササゲは日本を含む世界の多くの地域で親しまれている豆であり、その栄養価や調理法により多くの料理に活用されています。

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