ササヤマミロス

ササヤマミロスの紹介

ササヤマミロス (Sasayamamylos) は、約1億1200万年前の白亜紀前期、特にアルビアン期に存在した哺乳類で、真獣下綱に所属します。この属に含まれる模式種は ササヤマミロス・カワイイ (Sasayamamylos kawaii) で、特にその歯の構造が注目されています。

概要

ササヤマミロス・カワイイは、現在の兵庫県丹波篠山市に位置する篠山層群の下層から発見された右下顎骨の化石に基づいて記載されました。この化石は2007年から2008年にかけて愛媛大学大学院の楠橋直博士と、兵庫県立人と自然の博物館の三枝春生氏を含む研究チームによる発掘調査の結果、発見されました。化石の発見により、初めてササヤマミロスという新しい属が報告され、特にその顎や歯の特徴が既存の種と異なることから新種であると見なされています。

発見された化石の中でも特に重要なのは、ほぼ完全な形で出土した右下顎骨の化石です。その長さは約2.5センチメートルであり、そこから推測される全長は十数センチメートル程度、体重は40グラムから50グラムの小型動物であったと考えられています。現代のネズミに似たサイズ感と表現されることが多いです。

名称の由来

ササヤマミロスという名前は、発掘された場所に由来しています。種小名の「カワイイ」は、篠山市出身の著名な霊長類学者、河合雅雄に因むもので、彼の名にラテン語の所有格を加えた形です。このため、一般的に「カワイイ」という表現がメディアでも用いられることがあり、動物の学名においては興味深い側面と言えるでしょう。記載論文は2013年3月27日にProceedings of the Royal Society Bに掲載されており、ササヤマミロスの正式な学名が付けられたのは、篠山層群における化石発見に基づく初の記録です。

ササヤマミロスの意義

この化石は、白亜紀前期という非常に古い時代において知られている最古の真獣下綱の一つとして貴重です。同じ時代の真獣下綱として知られている種は、エオマイア・スカンソリアなどの数種のみであり、世界的な視点でも非常に珍しい存在です。現在の哺乳類の大部分が真獣下綱に属しているため、この発見は初期の哺乳類の進化に関する重要な手がかりを提供しています。

ササヤマミロスの特筆すべき点として、発達した臼歯の存在があります。初期の哺乳類は、鋭く尖った歯が多かったのに対して、ササヤマミロスは切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯が特定の比率で並んでおり、食物を効率的にすりつぶすために適応したと思われます。この特徴は、彼らが昆虫など硬い外骨格生物を食べることができるように発展していた可能性を示唆しています。

このようにササヤマミロスの化石は、その独特な歯の形状や発展した臼歯の構造から、白亜紀前期における哺乳類の進化についての理解を深めるための貴重な資料となっています。初期の哺乳類の多様性や生態的な役割に関する研究が進む中、ササヤマミロスは重要な一角を担っているのです。

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