サハラ・アラブ民主共和国

サハラ・アラブ民主共和国（RASD）

概要

サハラ・アラブ民主共和国（República Árabe Saharaui Democrática）は、北アフリカの西サハラにおける独立国家であり、1976年にポリサリオ戦線によって建国されました。この国家は、スペインの領有権放棄後、西サハラの解放を目指してきた組織の結果として成立しました。

歴史的背景

サハラ・アラブ民主共和国の成立は、数世代にわたる複雑な歴史的背景に根ざしています。1878年、イギリスはケープ・ジュビーに交易所を設置しましたが、その後、スペインは1884年にサハラを保護領として宣言しました。1956年にはモロッコがフランスから独立し、西サハラの領有権を主張するようになりますが、1960年代に自決権が国連により確認されました。ポリサリオ戦線の結成は1973年であり、彼らは武装闘争を通じて西サハラの独立を求めました。

1975年、スペインは西サハラからの撤退を決定し、その際モロッコとモーリタニアの二国が領有権を主張します。これによりポリサリオ戦線は、アルジェリアに拠点を持つ亡命政府を設立しました。1976年2月27日、ポリサリオ戦線はサハラ・アラブ民主共和国の樹立を宣言し、エル・ワリが初代大統領に就任しました。

政治と政府

サハラ・アラブ民主共和国は、大統領制と議会制民主主義を有し、政治の中心にはポリサリオ戦線が立っています。共和国の憲法に基づき、政府が機能しています。2022年時点での大統領はブラヒム・ガリであり、首相はブチャラヤ・ハモウディ・ベユンが務めています。

国際的な承認と課題

この国はまだ国連には加盟していませんが、84カ国からの国家承認を有します。しかし、承認を撤回または凍結する国も増えており、2022年時点で国際的な認知は不安定です。具体的には、アメリカ合衆国はモロッコの主権を支持し、RASDの実効支配地域を含む西サハラをモロッコの一部として扱っているため、国際関係は非常に複雑です。

地理・人口

サハラ・アラブ民主共和国が実効支配する地域は約82,500平方キロメートルで、推定人口は26万人とされていますが、正確な統計は不明です。サハラ全体の面積は266,000平方キロメートルに上り、612,000人と推定される人口が存在します。ここは主に砂漠地帯で、気候は乾燥し極端な温度変化を伴います。

軍事と防衛

サハラウィー人民解放軍（ELPSA）として知られる軍は、ポリサリオ戦線の武装部隊であり、自国の防衛及び独立運動を展開しています。彼らはアルジェリア、キューバ、リビアからの支援を受け、軍事活動を行ってきた歴史があります。

結論

サハラ・アラブ民主共和国は、独立を求める運動が続く中で、地域的及び国際的な課題に直面しています。その政治的状況、国際的な承認、国民生活の現状は、今後の展開次第で変化する可能性があります。特に、住民投票の実施が未だに行われていない状況は、国際社会の注目を浴びる要因となっています。

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