サバ州立鉄道

サバ州立鉄道：ボルネオ島唯一の鉄路

サバ州立鉄道は、マレーシアのサバ州鉄道部が運営する、ボルネオ島で唯一の鉄道路線です。コタキナバルのタンジュン・アル駅からテノム駅を結ぶ路線を、旅客列車と貨物列車が運行しています。この鉄道は、地元では「JKNS」という略称で親しまれています。

路線概要

サバ州立鉄道の路線データは以下の通りです。

駅数: 15駅（起終点を含む）
軌間: 1,000mm
複線区間: 全線単線
電化区間: 全線非電化
閉塞方式: ほとんどの駅に交換設備あり

列車はプッシュプルトレイン、気動車、ディーゼル機関車が客車や荷物車を牽引する形態で運行されています。2016年5月時点では、区間運転を含む1日3往復、全線直通列車は2往復が運行されていました。

運行は本線とジョージ線で完全に分離されており、それぞれ異なる車両が使用されています。本線では主に6600形プッシュプルトレインが、ジョージ線ではディーゼル機関車が活躍しています。

列車番号の規則

列車番号は、英字2桁と数字3桁で構成されています。

英字1桁目: 路線を表す（本線またはジョージ線）。
英字2桁目: 進行方向を表す（S：南行、U：北行）。
数字1桁目: 始発駅を表す。
数字下2桁: 南行・北行に関わらず、01以降の連番。

車両

サバ州立鉄道には様々な車両が在籍していますが、運用数は減少傾向にあります。現在、定期的に運行されているのは以下の車両です。

プッシュプルトレイン: 6600形4両
気動車: 3100形2両
ディーゼル機関車: 5200形、6100形各1両
客車: 4両
貨車: 1両

機関車・プッシュプルトレイン

5200形: 川崎重工製のディーゼル機関車。ジョージ線のハログラット - テノム間で運用。
6100形: 日立製作所製のディーゼル機関車。ジョージ線のビューフォート - ハログラット間で運用。
15100形: 中国南車製のディーゼル機関車。本線で使用されるが、貨物列車の運休により、予備的な役割。
6600形: 中国南車製のプッシュプルトレイン。動力車1両と客車3両で構成。2編成導入されたが、1編成は事故により運用離脱。

気動車

3100形: イギリス製の気動車。予備車扱い。
5000形: インド製の気動車。作業用やジョージ線の区間運用で使用。
8500形: 元会津鉄道の車両を譲渡。 「Kelas Pertama」（ファーストクラスの意味）と呼称した急行として、本線で使用。

歴史

サバ州立鉄道の歴史は古く、19世紀末にまで遡ります。

1896年: イギリス北ボルネオ会社により、ビューフォート - ウェストン間が開業。
1902年: ビューフォート - ジェッセルトン間が開業。
1905年: ビューフォート - テノム間が開業。
1914年: 北ボルネオ鉄道が設立。
1944年 - 1945年: 第二次世界大戦で路線が壊滅的に破壊される。
1949年 - 1960年: 北ボルネオ鉄道による復旧工事。
1963年: ビューフォート - ウェストン間が廃止、サバ州鉄道部設立
1970年: テノム - メララップ間が廃止。
1974年: ジェッセルトン - タンジュン・アル間が廃止。
2000年: 北ボルネオ鉄道が観光列車として運行開始。
2001年: テノム渓谷で列車脱線事故が発生。
2006年: 改良プロジェクト開始。
2011年: 本線が運転再開。

駅一覧

サバ州立鉄道の駅には駅員が配置されており、運賃が安いため利用者が多いです。ほとんどの駅に交換設備が設置されています。ジョージ線には、書類上は途中駅が4駅ですが、集落毎に仮乗降場が多数存在します。

本線:

タンジュン・アル(Tanjung Aru)
キナルート(Kinarut)
パパル(Papar)
ビューフォート(Beaufort)

ジョージ線:

ビューフォート(Beaufort)
ハログラット(Halogilat)
テノム(Tenom)

参考文献

斎藤幹雄、2017、「REPORT マレーシア・ボルネオ島のサバ州立鉄道」、『鉄道ファン』57巻（通巻671号（2017年3月号））、交友社 pp. 140-143


サバ州立鉄道は、その歴史と多様な車両、そして沿線の美しい風景が魅力的な、ボルネオ島唯一の鉄道路線です。ぜひ一度、この鉄道の旅を体験してみてください。

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