サムイル (ブルガリア皇帝)

サムイル：西ブルガリア帝国の皇帝

サムイル（958年 - 1014年10月6日）は、西ブルガリア帝国の皇帝として知られています。彼は第一次ブルガリア帝国の衰退期に頭角を現し、東ローマ帝国との間で激しい戦いを繰り広げました。彼の生涯は、バルカン半島の歴史において重要な出来事の一つとして語り継がれています。

生涯

第一次ブルガリア帝国の衰退

第一次ブルガリア帝国は、シメオン1世の死後、東ローマ帝国や周辺諸国との戦いで徐々に衰退していました。969年にはキエフ大公国の侵攻を受け、さらに東ローマ帝国のヨハネス1世ツィミスケスによって征服され、帝国は一時滅亡しました。皇帝ボリス2世を含むブルガリアの皇族は、東ローマ帝国の首都コンスタンティノポリスへと連れ去られました。

西ブルガリア帝国の興隆

しかし、地方長官の息子であったサムイルを含む4人の兄弟は、東ローマ帝国の内紛に乗じて反乱を起こしました。サムイルは、ボリス2世の弟ロマン1世と共同で皇帝を称し、オフリダを首都に西ブルガリア帝国を建国しました。この帝国は「サムイルの帝国」とも呼ばれ、瞬く間に勢力を拡大し、バルカン半島の西北部を制圧、さらにはギリシャの都市ラリサを占領するほどでした。

東ローマ帝国との戦い

サムイルは、東ローマ皇帝バシレイオス2世との戦いにおいて、トラヤヌスの門の戦いで勝利を収めました。当時の東ローマ帝国では軍事貴族の反乱が相次いでおり、サムイルの帝国はバルカン半島の大半を支配下に置き、東ローマ帝国は南部の沿岸部しか残されていませんでした。しかし、バシレイオス2世はキエフ大公国の援軍を得て反撃を開始しました。サムイルはハンガリー王国と同盟を結ぶなどして対抗しましたが、997年のスペルヒオス川の戦いを境に徐々に劣勢となり、1000年頃から東側の領土を次々と奪われていきました。

悲劇的な最期

1014年7月、クレディオン峠の戦いで、サムイルは東ローマ軍に敗北しました。彼は戦場から逃れることができましたが、バシレイオス2世が送ってきた両目を潰された1万4千人ものブルガリア人捕虜の姿を見て卒倒し、2日後の10月6日に亡くなりました。サムイルの死後も、残された息子や将軍たちが抵抗を続けましたが、1018年には東ローマ帝国に降伏し、西ブルガリア帝国は滅亡しました。

まとめ

サムイルは、西ブルガリア帝国の皇帝として、東ローマ帝国との激しい戦いを繰り広げました。一時はバルカン半島の大半を支配下に置きましたが、最終的には敗北し、その生涯を終えました。彼の生涯は、バルカン半島の歴史において、重要な出来事の一つとして記憶されています。

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