サムシング (ビートルズの曲)

サムシング：ビートルズの隠れた名曲

1969年、ビートルズの11作目のアルバム『アビイ・ロード』に収録され、翌年にはシングルカットされた「サムシング」。この曲は、ジョージ・ハリスンがレノン＝マッカートニーの作品と肩を並べるほどの評価を得た、ビートルズの歴史において重要な楽曲です。

ハリスンによる創作とレコーディング

「サムシング」は、アルバム『ザ・ビートルズ』のレコーディング中に、ハリスンが他のメンバーが作業している合間に、一人でスタジオにこもり書き上げたと言われています。シンプルながらも美しいメロディーは、既存曲からの借用を疑うほど自然で、ハリスン自身もその出来に驚いたそうです。歌詞のインスピレーションは、妻パティ・ボイドへの愛情と、レイ・チャールズへの敬愛が混ざり合ったものだったとされています。

レコーディングは1969年1月から始まり、数多くのテイクが録音されました。リンゴ・スターの映画撮影による欠席や、メンバー間の意見交換、そしてプロデューサーであるジョージ・マーティンのアレンジなど、制作過程には様々なエピソードが残されています。最終的には、ストリングスアレンジを加えたバージョンがアルバムに収録されました。 完成版では、セッションの途中で生まれた長いジャムセッション部分はカットされています。

複数のアーティストによるカヴァー

「サムシング」は、リリース後すぐに高い評価を受けました。ジョン・レノンは「『アビイ・ロード』で一番の曲」と評し、シングルカットを推奨したほどです。

その人気の高さから、多くのアーティストがカバーしました。中でも、シャーリー・バッシーとフランク・シナトラによるカバーは特に有名です。シャーリー・バッシー版は全英チャートで4位を獲得し、フランク・シナトラは「過去50年間で最も優れたラブソング」と絶賛するなど、世代を超えて愛されている楽曲であることを示しています。他にも、ジョー・コッカー、ペギー・リー、トニー・ベネット、エルヴィス・プレスリー、ボブ・ディランなど、錚々たるアーティストが「サムシング」をカバーしています。

後世への影響と評価

「サムシング」は、アイヴァー・ノヴェロ賞を受賞するなど、数々の賞賛を受けました。ビートルズの楽曲の中では「イエスタデイ」に次ぐカバー数の多さを誇り、『ローリング・ストーン』誌の「100 Greatest Beatles Songs」でも上位にランクインしています。また、ハリスン自身も自身のソロコンサートやツアーで頻繁に演奏し、彼の死後には、ブルース・スプリングスティーンやエルトン・ジョン、ポール・マッカートニーなど、多くのアーティストがトリビュートとして演奏しています。

まとめ

「サムシング」は、ジョージ・ハリスンの才能を遺憾なく発揮した、美しく、そして力強いラブソングです。シンプルながら奥深いメロディーと、時代を超えて愛される歌詞は、多くのアーティストにインスピレーションを与え続け、ビートルズの楽曲の中でも特別な地位を確立しています。そのレコーディングにおける数々のエピソードや、多くのアーティストによるカバーバージョンなども含めて、音楽史に残る名曲と言えるでしょう。

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