ペギー・リー
ペギー・リー（Peggy Lee、1920年5月26日 - 2002年1月21日）は、アメリカ合衆国出身の歌手、女優です。本名をノーマ・デロリス・エグストローム（Norma Deloris Egstrom）といい、「ソフト・アンド・クール」と評される独特な歌声で多くの人々を魅了しました。
ペギーは、ノースダコタ州ジェームズタウンで7人兄弟の末っ子として生まれました。幼少期に母親を亡くし、父親の再婚後、継母から辛く当たらる日々を送る中、ラジオから流れる音楽が彼女の慰めとなりました。初めて本格的に歌ったのは、ノースダコタ州バレーシティのラジオ局KOVCでした。その後、自身のラジオ番組を持つようになり、地元レストランのスポンサーによって食事を提供されていました。高校時代から様々な仕事を掛け持ちし、ウェイトレスをしながら別のラジオ局で歌うなど、音楽への情熱を燃やし続けました。ラジオパーソナリティのケン・ケネディの提案で、芸名を「ペギー・リー」と名乗るようになりました。
継母の虐待に耐えかねた彼女は、17歳で家を出てロサンゼルスへ移ります。その後、扁桃摘出手術のためにノースダコタへ戻った際に、ベニー・グッドマン楽団のシカゴ公演に呼ばれたことをきっかけに、1941年にグッドマン楽団に参加、2年間活動しました。この時期は、グッドマン楽団が最も成功を収めた時期の一つとされています。
1942年初頭には、ペギーは「誰かが邪魔した」（Somebody Else Is Taking My Place）で全米チャート初のトップ10入りを果たします。翌1943年には「Why Don't You Do Right?」が100万枚以上を売り上げ、彼女の名を一躍有名にしました。同年には映画『Stage Door Canteen』と『The Powers Girl』にもベニー・グッドマンと共に歌唱出演しました。
1943年3月、ペギーはグッドマン楽団のギタリスト、デイヴ・バーバーと結婚。二人は楽団を脱退し、デイヴはスタジオ勤務に、ペギーは娘ニキの育児に専念しました。しかし、1944年にはキャピトル・レコードと契約し、作曲・レコーディング活動を再開しました。キャピトルでは、「アイ・ドント・ノウ・イナフ・アバウト・ユー」（I Don't Know Enough About You）や「イッツ・ア・グッド・デイ」（It's a Good Day, 1946年）など数々のヒット曲を生み出します。1948年には「マニャーナ」（Mañana）が年間売り上げ1位となる大ヒットとなり、彼女の音楽活動は本格化しました。また、NBCのラジオ番組『Chesterfield Supper Club』では、ペリー・コモやジョー・スタッフォードと共に司会を務めました。
1951年にデイヴと離婚後、1950年代前半はキャピトル・レコードを離れましたが、1957年に復帰。リトル・ウィリー・ジョンの「フィーバー」（Fever）や、ジェリー・リーバー&マイク・ストーラーの「イズ・ザット・オール・ゼア・イズ」（Is That All There Is?）のカバーが広く知られています。キャピトル・レコードとの契約は30年近くに及び、デッカ・レコード時代（1952年 - 1956年）には名盤『ブラック・コーヒー』（Black Coffee, 1956年）を発表するなど、アーティストとして充実した時期を送りました。デッカ時代には「ラヴァー」（Lover）や「ミスター・ワンダフル」（Mr. Wonderful）などのヒット曲もリリースしています。
ペギーはソングライターとしても才能を発揮し、ディズニー映画『わんわん物語』の挿入歌（自身も歌唱）など、数々のヒット曲を作詞・作曲しました。夫のデイヴ・バーバーをはじめ、ローリンド・アルメイダ、ハロルド・アーレン、デューク・エリントン、クインシー・ジョーンズなど、多くの著名な音楽家と共同で作曲活動を行いました。
ロックンロールが台頭し始めた時代においても、彼女はキャピトルの主要アーティストの一人であり続け、1957年から1972年まで、年に数枚のアルバムをコンスタントに発表しました。
ペギーは、女優としてもいくつかの映画に出演しています。1952年には、アル・ジョルソンの主演作のリメイクである『ジャズ・シンガー』でダニー・トーマスの相手役を演じ、1955年の『皆殺しのトランペット』（Pete Kelly's Blues）ではアルコール中毒のブルース歌手を演じ、アカデミー賞にノミネートされました。
ペギーはグラミー賞に12回ノミネートされ、1969年には「イズ・ザット・オール・ゼア・イズ」で最優秀女性ポップ・ボーカル賞を受賞しました。1995年にはグラミー生涯業績賞も授与されています。
1990年代まで活動を続けましたが、体調が悪化したため引退。数年の闘病生活の後、2002年1月21日、糖尿病と心臓発作の合併症により81歳でこの世を去りました。彼女は、カリフォルニア州ロサンゼルス市ウェストウッド地区にあるウェストウッド・メモリアルパークに埋葬されています。
ペギーの詳しいディスコグラフィーは、英語版のWikipediaページを参照ください。
en:Peggy Lee#Albums
また、以下の書籍で詳細な生涯を辿ることができます。
Robert Strom, Miss Peggy Lee: A Career Chronicle, 2005, McFarland Publishing, ISBN 0-7864-1936-9
Peter Richmond, Fever: The Life and Music of Miss Peggy Lee, 2006, Henry Holt and Company, ISBN 0-8050-7383-3
Will Friedwald, Sinatra! The Song is for You, 1996, Da Capo Press & Liner Notes for The Best of Peggy Lee, The Capitol Years.
ペギーは過去に日本でも公演を行っています。
1975年：4月25, 27, 28, 30日 中野サンプラザ、5月2日 大阪厚生年金会館
1976年：8月10日 帝国ホテル (孔雀の間) （招聘：三越）、大阪、札幌でも公演
公式サイト
ペギー・リー - IMDb（英語）
* ペギー・リーのディスコグラフィ
生い立ちと音楽への目覚め
ペギーは、ノースダコタ州ジェームズタウンで7人兄弟の末っ子として生まれました。幼少期に母親を亡くし、父親の再婚後、継母から辛く当たらる日々を送る中、ラジオから流れる音楽が彼女の慰めとなりました。初めて本格的に歌ったのは、ノースダコタ州バレーシティのラジオ局KOVCでした。その後、自身のラジオ番組を持つようになり、地元レストランのスポンサーによって食事を提供されていました。高校時代から様々な仕事を掛け持ちし、ウェイトレスをしながら別のラジオ局で歌うなど、音楽への情熱を燃やし続けました。ラジオパーソナリティのケン・ケネディの提案で、芸名を「ペギー・リー」と名乗るようになりました。
継母の虐待に耐えかねた彼女は、17歳で家を出てロサンゼルスへ移ります。その後、扁桃摘出手術のためにノースダコタへ戻った際に、ベニー・グッドマン楽団のシカゴ公演に呼ばれたことをきっかけに、1941年にグッドマン楽団に参加、2年間活動しました。この時期は、グッドマン楽団が最も成功を収めた時期の一つとされています。
輝かしい音楽活動
1942年初頭には、ペギーは「誰かが邪魔した」（Somebody Else Is Taking My Place）で全米チャート初のトップ10入りを果たします。翌1943年には「Why Don't You Do Right?」が100万枚以上を売り上げ、彼女の名を一躍有名にしました。同年には映画『Stage Door Canteen』と『The Powers Girl』にもベニー・グッドマンと共に歌唱出演しました。
1943年3月、ペギーはグッドマン楽団のギタリスト、デイヴ・バーバーと結婚。二人は楽団を脱退し、デイヴはスタジオ勤務に、ペギーは娘ニキの育児に専念しました。しかし、1944年にはキャピトル・レコードと契約し、作曲・レコーディング活動を再開しました。キャピトルでは、「アイ・ドント・ノウ・イナフ・アバウト・ユー」（I Don't Know Enough About You）や「イッツ・ア・グッド・デイ」（It's a Good Day, 1946年）など数々のヒット曲を生み出します。1948年には「マニャーナ」（Mañana）が年間売り上げ1位となる大ヒットとなり、彼女の音楽活動は本格化しました。また、NBCのラジオ番組『Chesterfield Supper Club』では、ペリー・コモやジョー・スタッフォードと共に司会を務めました。
1951年にデイヴと離婚後、1950年代前半はキャピトル・レコードを離れましたが、1957年に復帰。リトル・ウィリー・ジョンの「フィーバー」（Fever）や、ジェリー・リーバー&マイク・ストーラーの「イズ・ザット・オール・ゼア・イズ」（Is That All There Is?）のカバーが広く知られています。キャピトル・レコードとの契約は30年近くに及び、デッカ・レコード時代（1952年 - 1956年）には名盤『ブラック・コーヒー』（Black Coffee, 1956年）を発表するなど、アーティストとして充実した時期を送りました。デッカ時代には「ラヴァー」（Lover）や「ミスター・ワンダフル」（Mr. Wonderful）などのヒット曲もリリースしています。
ソングライターとしての才能
ペギーはソングライターとしても才能を発揮し、ディズニー映画『わんわん物語』の挿入歌（自身も歌唱）など、数々のヒット曲を作詞・作曲しました。夫のデイヴ・バーバーをはじめ、ローリンド・アルメイダ、ハロルド・アーレン、デューク・エリントン、クインシー・ジョーンズなど、多くの著名な音楽家と共同で作曲活動を行いました。
ロックンロールが台頭し始めた時代においても、彼女はキャピトルの主要アーティストの一人であり続け、1957年から1972年まで、年に数枚のアルバムをコンスタントに発表しました。
女優としての活躍
ペギーは、女優としてもいくつかの映画に出演しています。1952年には、アル・ジョルソンの主演作のリメイクである『ジャズ・シンガー』でダニー・トーマスの相手役を演じ、1955年の『皆殺しのトランペット』（Pete Kelly's Blues）ではアルコール中毒のブルース歌手を演じ、アカデミー賞にノミネートされました。
受賞歴
ペギーはグラミー賞に12回ノミネートされ、1969年には「イズ・ザット・オール・ゼア・イズ」で最優秀女性ポップ・ボーカル賞を受賞しました。1995年にはグラミー生涯業績賞も授与されています。
引退と最期
1990年代まで活動を続けましたが、体調が悪化したため引退。数年の闘病生活の後、2002年1月21日、糖尿病と心臓発作の合併症により81歳でこの世を去りました。彼女は、カリフォルニア州ロサンゼルス市ウェストウッド地区にあるウェストウッド・メモリアルパークに埋葬されています。
その他
ペギーの詳しいディスコグラフィーは、英語版のWikipediaページを参照ください。
en:Peggy Lee#Albums
また、以下の書籍で詳細な生涯を辿ることができます。
Robert Strom, Miss Peggy Lee: A Career Chronicle, 2005, McFarland Publishing, ISBN 0-7864-1936-9
Peter Richmond, Fever: The Life and Music of Miss Peggy Lee, 2006, Henry Holt and Company, ISBN 0-8050-7383-3
Will Friedwald, Sinatra! The Song is for You, 1996, Da Capo Press & Liner Notes for The Best of Peggy Lee, The Capitol Years.
日本公演
ペギーは過去に日本でも公演を行っています。
1975年：4月25, 27, 28, 30日 中野サンプラザ、5月2日 大阪厚生年金会館
1976年：8月10日 帝国ホテル (孔雀の間) （招聘：三越）、大阪、札幌でも公演
外部リンク
公式サイト
ペギー・リー - IMDb（英語）
* ペギー・リーのディスコグラフィ
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