サムシング・ニュー (ビートルズのアルバム)

『サムシング・ニュー』(Something New)は、1964年7月にアメリカでリリースされたビートルズのアルバムです。彼らの5作目のアルバムにあたりますが、イギリス盤とは異なり、アメリカ盤キャピトル・レコードが編集した作品となっています。

このアルバムの背景には、映画『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』とそのサウンドトラックの権利関係が大きく関わっています。映画のサウンドトラックアルバム『A Hard Day's Night』は、映画会社ユナイテッド・アーティスツからリリースされました。キャピトル・レコードは同タイトルのアルバムを発売することが契約上できなかったため、『サムシング・ニュー』というタイトルで別のアルバムをリリースすることになったのです。

『サムシング・ニュー』の収録曲は、主に映画『A Hard Day's Night』のサウンドトラックからの楽曲で構成されています。しかし、映画のサウンドトラックに収録されていた「ア・ハード・デイズ・ナイト」、「恋する二人」、「キャント・バイ・ミー・ラヴ」といった代表曲は、このアルバムには収録されていません。代わりに、EP『ロング・トール・サリー』に収録されていた「スロウ・ダウン」「マッチボックス」、「抱きしめたい（ドイツ語）」といった楽曲が加えられ、計11曲が収録されています。

ジャケット写真は、エド・サリヴァン・ショーでのパフォーマンスの様子が使用されています。このアルバムはアメリカで大きな成功を収め、『ビルボード』誌のアルバムチャートで9週連続2位を記録、200万枚以上の売上を記録しました。

しかし、長らくCD化されず、ファンには幻の作品として知られていました。その後、2004年にリリースされたボックスセット『The Capitol Albums Vol.1』に収録され、初めてモノラルとステレオの両バージョンがCDで聴けるようになりました。これは、ビートルズファンにとって、長年の悲願が叶った瞬間と言えるでしょう。

メンバーのクレジットは、ジョン・レノン（ボーカル、リズムギター、一部ピアノ）、ポール・マッカートニー（ボーカル、ベース）、ジョージ・ハリスン（リードギター、バッキングボーカル、一部リードボーカル）、リンゴ・スター（ドラム、パーカッション、一部リードボーカル）となっています。さらに、プロデューサーのジョージ・マーティンも、一部楽曲のピアノ演奏で参加しています。

『サムシング・ニュー』は、ビートルズの初期作品の中でも、アメリカにおけるレコード会社の事情が色濃く反映された特殊なアルバムです。しかしその一方で、アメリカで絶大な人気を誇ったビートルズの勢いが感じられる、重要な作品であると言えるでしょう。また、長年CD化されなかった歴史と、その後の初CD化は、コレクターズアイテムとしての価値を高める要素となっています。このアルバムは、ビートルズの初期の活躍と、アメリカにおける彼らの影響力の大きさを改めて認識させてくれる、貴重な記録と言えるでしょう。

参考文献
Whitburn, Joel (2010). Joel Whitburn Presents Top Pop Albums, Seventh Edition. Record Research Inc.. ISBN 0-89820-183-7

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