サムスン物産

サムスン物産 (Samsung C&T Corporation)

サムスン物産は、大韓民国を拠点とする総合商社および建設ゼネコンであり、韓国最大の財閥であるサムスングループの中核企業の一つです。その英語社名 "C&T" が示すように、Construction（建設）と Trading（商社）の二つの主要な事業領域を中心に事業を展開しています。

概要

サムスン物産の事業は、単なる商社業務に留まらず、建設分野においても大きな存在感を示しています。2015年には、同じサムスングループに属する第一毛織（旧・サムスンエバーランド）と合併し、事業領域を拡大しました。合併後の法人格は第一毛織を存続会社とし、社名をサムスン物産に変更しました。これにより、従来の商社・建設事業に加え、旧第一毛織が手掛けていたファッション部門やリゾート部門も事業ポートフォリオに組み込まれています。

しかし、この合併を巡っては、アメリカの投資会社が不平等な扱いを受けたと主張し、米韓自由貿易協定（FTA）に基づく投資家対国家の紛争解決（ISDS）仲裁を韓国政府に申し立てるという事態も発生しました。

主な事業内容

サムスン物産の事業は多岐にわたりますが、主なものとして以下の4つの部門が挙げられます。

1. 商社部門:
資源：石油、ガス、石炭、金属などの輸出入
電子産業：半導体、ディスプレイ、携帯電話などの素材、部品、設備
化学：石油化学製品、有機・無機化学製品、精密化学製品
鉄鋼：熱延・冷延鋼板、鍍金鋼板、ステンレス、非鉄金属、貴金属
機械PLANT：輸送装備、産業装備、一般機械、プラント、機械設備など
繊維・物資：繊維、ファッション、IT消費財
新規事業：サービス・ソフト、新再生エネルギー・環境、新技術R&D

2. 建設部門:
建築：ハイテク工場、超高層ビルなどの建築物の施工および事業管理
土木：道路、トンネル、橋梁、港湾など土木構造物の施工および事業管理
プラント：発電所、エネルギー施設などの設計、購買、施工、事業管理
住宅：住宅新築、販売（再建、再開発、一般請負、自体事業）

3. ファッション部門:
旧第一毛織から継承したファッション事業を展開。

4. リゾート部門:
エバーランド：韓国最大級のテーマパーク
カリビアンベイ：大規模ウォーターパーク

主な建設実績

サムスン物産は、世界的に有名な大規模プロジェクトを数多く手掛けています。

ブルジュ・ハリファ：世界一の高さを誇る超高層ビル（アラブ首長国連邦）
仁川大橋：総延長21kmに及ぶ海上橋梁（韓国）
ウルサン原子力発電所：韓国の主要な原子力発電所
仁川国際空港：韓国の空の玄関口
ペトロナスツインタワー：マレーシアの象徴的な超高層ビル（タワー2を担当）

関連会社

サムスン物産は、サムスングループ内の多数の企業と密接な関係を持っています。

サムスン電子
サムスン電機
サムスンSDI
サムスンディスプレイ
サムスンコーニング精密素材
サムスンLED
サムスン重工業
ハンファテックウィン
サムスンエンジニアリング

関連項目

李富真：サムスン物産商事部門顧問、ホテル新羅社長、サムスンエバーランド社長。サムスン創業者の孫娘。
* 崔順実ゲート事件：朴槿恵大統領の親友による国政介入事件。サムスン物産と第一毛織の合併にも影響があったとされる。

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