サム・ワナメイカー

サミュエル・ワナメイカー：多才な才能で演劇界に貢献した巨人

サミュエル・ワナメイカー（Samuel Wanamaker, 1919年6月14日 - 1993年12月18日）は、アメリカ合衆国出身の映画監督、舞台監督、そして俳優として、その多岐にわたる才能を発揮した人物です。東欧ユダヤ系移民の子としてシカゴで生まれた彼は、17歳で俳優としてのキャリアをスタートさせました。

演劇への情熱

シカゴのグッドマン・シアターでの養成期間を経て、サマーストック・シアターに参加。その後、ブロードウェイや地方巡業の舞台にも立ち、着実に経験を積んでいきました。アイオワ州のドレイク大学で学んだ後、第二次世界大戦中は陸軍で服務しましたが、演劇への情熱は消えることなく、戦後も精力的に活動を続けました。

1950年代初頭にイギリスで映画撮影を行った際、下院非米活動委員会（HUAC）のブラックリストに載せられたことを知り、アメリカへの帰国を拒否。これを機にイギリスへ移住し、ロンドンを拠点に活動することになります。

イギリスでの活躍

1952年にロンドンでデビューを果たした後、1957年にはリバプールのニュー・シェイクスピア・シアターの監督に就任。1959年にはストラトフォード・アポン・エイボンのシェイクスピア・メモリアル・シアターに参加するなど、イギリス演劇界での地位を確立しました。1960年代から70年代にかけては、ウエスト・エンドのコヴェント・ガーデンなどでプロデューサーや監督を務め、1974年のシェイクスピア生誕祭の演出も担当しました。

映画界での活躍

ワナメイカーは、舞台だけでなく映画やテレビでも監督や俳優として活躍しました。出演した映画には、『らせん階段』（1974年）、『プライベート・ベンジャミン』（1980年）、『スーパーマン4/最強の敵』（1986年）、『赤ちゃんはトップレディがお好き』（1987年）などがあります。彼の演技は、幅広い役柄をこなすことができ、多くの観客を魅了しました。

私生活と晩年

ワナメイカーは、1940年にカナダ人のシャーロット・ホランドと結婚しましたが、1970年代にはアメリカ人女優のジャン・スターリングと親密な交際を始め、彼女が彼の死まで伴侶となりました。彼は3人の娘をもうけ、そのうちの一人であるゾーイは女優として活躍しています。

ワナメイカーは、インターナショナル・シェイクスピア・グローブセンターの設立者としても知られています。彼はロンドンのグローブ座再建に尽力しましたが、完成を見ることなく1993年に前立腺癌のため亡くなりました。1989年にはベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞しており、彼の業績は広く認められています。

主な出演作品

コンクリートの中の男 (1949年)
コンクリート・ジャングル (1960年)
隊長ブーリバ (1962年)
寒い国から帰ったスパイ (1965年)
素晴らしきヒコーキ野郎 (1965年)
魚が出てきた日 (1967年)
らせん階段 (1975年)
ナイル殺人事件 (1978年)
さすらいの航海 (1976年)
プライベート・ベンジャミン (1980年)
コンペティション (1980年)
ペーパー・ファミリー (1984年)
ゴリラ (1986年)
スーパーマン4/最強の敵 (1987年)
赤ちゃんはトップレディがお好き (1987年)
ジャッジメント・イン・ベルリン (1988年)
真実の瞬間 (1991年)
ピュア・ラック (1991年)
シティ・オブ・ジョイ (1992年)
ロイ・シャイダー in ワイルドサンダー/炎の追跡 (1993年)

主な監督作品

黄金線上の男 (1969年)
華麗なる暗殺 (1970年)
マーベリックの黄金 (1971年)
刑事コロンボ: 殺しの序曲 (1977年) テレビシリーズ
シンドバッド虎の目大冒険 (1977年)
刑事コロンボ: おもちゃの兵隊 (1989年) テレビシリーズ

外部リンク

サム・ワナメイカー - allcinema
Sam Wanamaker - IMDb（英語）
* グローブ座

サミュエル・ワナメイカーは、その多才な才能と演劇への情熱で、舞台、映画、そしてシェイクスピア劇場の復興に大きな貢献を果たしました。彼の遺した功績は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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