グローブ座

グローブ座：シェイクスピアの魂が宿った劇場

グローブ座は、ウィリアム・シェイクスピアと深い関わりを持つことで知られる、16世紀末から17世紀初頭にロンドン、サザーク地区に存在した劇場です。テムズ川南岸というロケーション、そしてシェイクスピア劇団の活動拠点であったという歴史的背景から、世界中の演劇ファンにとって特別な存在となっています。

建立と火災、そして閉鎖

1599年、シェイクスピアが所属していた宮内大臣一座によって、ブレンド家所有の土地に建設されました。建設には、以前ショーディッチにあったシアター座の資材が再利用されたという逸話も残っています。シアター座の土地所有者とのトラブルを回避するために、劇場の解体と移築という大胆な計画が実行されたのです。グローブ座の設計は、円形に近い多角形で、約3000人の観客を収容できる規模を誇っていました。3階建ての建物で、最下層の「ヤード」と呼ばれるエリアでは立ち見の観客が、上層階では座席のある観客が観劇を楽しんだようです。

盛況を極めたグローブ座でしたが、1613年6月29日、上演中の火災により全焼するという悲劇に見舞われます。この火災は、舞台効果として使われた大砲の事故が原因とされています。幸いにも、死者が出るほどの大きな被害には至りませんでしたが、劇場は灰燼に帰しました。しかし、翌年には再建され、演劇活動を再開します。しかし、1642年、清教徒革命により、ロンドンの劇場はすべて閉鎖を余儀なくされ、グローブ座もその運命を逃れることはできませんでした。その後、取り壊されたと伝えられています。

グローブ座の構造と特徴

グローブ座は、円形劇場を基本とした独特の構造を持っていました。直径約30メートル、3階建ての建物で、約3000人の観客を収容できたと推定されています。舞台は、ヤードと呼ばれる立ち見エリアにせり出すように設置され、その奥には舞台装置や楽屋、倉庫などが配置されていたと考えられています。舞台上部にはバルコニーがあり、特定のシーンで活用されたと考えられています。また、舞台上部には「天(heavens)」と呼ばれる装飾が施された天井があり、舞台演出に効果的に用いられていたようです。

名称の由来と歴史的解釈

グローブ座という名称の由来は、ペトロニウスの言葉「世界はすべて舞台」を元にしていると考えられています。この言葉が、グローブ座のモットーとして用いられていたという説もありますが、その信憑性については議論があります。

現代への継承

1997年、元のグローブ座があった場所から少し離れた場所に、歴史的調査に基づいて忠実に復元された「シェイクスピアズ・グローブ」が建設されました。このレプリカ劇場は、現代においてもシェイクスピア作品の上演を続けるなど、グローブ座の歴史と文化を継承する重要な役割を担っています。さらに、2016年にはニュージーランドで、1614年再建のグローブ座を再現した仮設劇場「ポップアップ・グローブ」がオープンするなど、世界各地でグローブ座のレプリカが作られ、シェイクスピアの演劇文化は現代に受け継がれています。

グローブ座のレプリカ

シェイクスピア演劇の普及とともに、世界各国でグローブ座を模した劇場が建造されています。アメリカやドイツをはじめ、多くの国でシェイクスピア作品の上演に使用されているだけでなく、日本の東京にもグローブ座を模した劇場が存在します。これらのレプリカ劇場は、シェイクスピア演劇の文化的価値を改めて認識させる存在となっています。ただし、早稲田大学の演劇博物館にあるグローブ座を模した建物は、実際にはフォーチュン座をモデルとしているという指摘もあります。

参考文献

本文中に記載されている文献リストは、グローブ座に関する研究の深さと広がりを示すものです。これらの文献は、グローブ座の構造、歴史、文化的な意義を解き明かす上で貴重な情報源となっています。

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