サラミスの海戦 (紀元前306年)

サラミスの海戦 (紀元前306年)

サラミスの海戦は、紀元前306年にキプロス島のサラミス近海（ペルシア戦争のサラミスの海戦とは異なる場所）で起こった、ディアドコイ戦争における重要な海戦です。この戦いは、プトレマイオス1世とデメトリオス1世の間で繰り広げられました。

背景

当時、キプロス島を支配していたプトレマイオス1世は、この島を拠点として地中海やギリシアへの勢力拡大を狙い、ディアドコイ戦争での優位を確立しようとしました。これに対し、プトレマイオスと対立していたアンティゴノス1世は、息子であるデメトリオス1世を派遣し、プトレマイオスの勢力拡大を阻止しようとしました。

海戦の経過

プトレマイオス1世は、弟のメネラオスに60隻の艦隊を率いさせ、敵の背後を突くためにサラミスから出港させました。一方、デメトリオス1世は、10隻の艦隊を派遣してメネラオス隊を迎撃させ、少数でも防御しやすい隘路で待ち構えさせました。そして、デメトリオス自身は、手元に残した180隻の艦隊と陸軍を率いてプトレマイオス1世の本隊に総攻撃を仕掛け、これを打ち破りました。プトレマイオス艦隊は、わずか8隻が退却に成功したのみで、残りの艦は拿捕されるか、沈没させられました。デメトリオス軍は、女性やプトレマイオス軍の軍資金などの戦利品を得ました。

海戦後

サラミスの海戦後も、メネラオスは抵抗を続けましたが、最終的にデメトリオス1世に敗れ、彼が率いていた歩兵20,000と騎兵2,000もろとも捕虜となりました。これにより、デメトリオス1世はプトレマイオス1世の支配下にあったキプロス島を完全に占領しました。この勝利の知らせを受けたアンティゴノス1世は、同年にデメトリオス1世を共同統治者としてマケドニア王を称しました。これに対抗して、翌年には他のディアドコイたちも王を称するようになり、ディアドコイ戦争は新たな段階に入りました。

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