サルタイアー (紋章学)

サルタイアー（斜め十字）について

サルタイアー（英: Saltire、仏: Sautoir）は、紋章学においてシールドの四隅に届く斜めの十字、すなわちX字形のチャージを指します。これはベンドとベンド・シニスターの組み合わせと見なすこともでき、チーフ、ペイル、ベンド、フェス、シェブロンと並ぶ、紋章学における代表的なオーディナリーの一つです。サルタイアーは特にセント・アンドリュー・クロスとして知られ、聖アンドリューがその形状の十字架で処刑されたという伝承に由来します。

解説

他のオーディナリーと同様に、サルタイアーが単独で使用される場合、特に指示がない限り、その四本の腕はフィールドの端に達するように描かれます。フィールドの端に達しないように短く描くことは、紋章学の用語で「クーペド (couped)」と呼ばれます。複数のサルタイアーを描く際には、それらは必然的にクーペドされ、特に明記する必要はありません。

ディミニュティブ

サルトレル (saltorel) は、サルタイアーのディミニュティブであり、通常は半分の幅のサルタイアーとして定義されます。これは比較的新しい用語であり、フィレット・サルタイアー (fillet saltire) とは区別されます。

サルタイアーに関する用語

イン・サルタイアー (in saltire):

一つ目の意味は、聖ペテロに関連する鍵や剣などの細長いチャージが、紋章内で斜めに交差する様子を指します。
二つ目の意味は、サルタイアーの中心（交点）と四本の腕のそれぞれにチャージを配置し、合計5つ以上のチャージをX字形に配置することを指します。5つのチャージは、一般的なサイコロの5の目のように配置されます。
パーティ・パー・サルタイアー (party per saltire):

フィールドをサルタイアーのように交差する二本の対角線で四分割することを指します。ティンクチャー（色彩）が二つ指定されている場合、一つ目のティンクチャーはX字形の上と下のフィールドの色、二つ目は左右のフィールドの色を表します。四つの領域は個別に記述することも可能です。記述順は上、左、右、下の順となります。この順序は、紋章の統合における家系の格を表す順番でもあります。

適用例

サルタイアーは、スコットランドの国旗やジャマイカの国旗に用いられている他、多くの旗、紋章、シールに見られます。アムステルダムの紋章と市旗には、クーペドされた3つのサルタイアーが描かれています。スコットランド王家の紋章のサポーター（シールドを支える動物や人間）にもサルタイアーが用いられています。ライトブルーの背景に金のサルタイアー (Azure a saltire Or) は、マーシア王国に由来し、セント・オールバンズの紋章となっています。

関連項目

紋章学
紋章
聖アンデレ十字
* 聖パトリック旗

もう一度検索