サルバドール・サンチェス・セレン

サルバドール・サンチェス・セレン（Salvador Sánchez Cerén、1944年6月18日 - ）は、エルサルバドルの政治家であり、元ゲリラです。ファラブンド・マルティ民族解放戦線 (FMLN) に所属し、2009年からマウリシオ・フネス大統領の下で副大統領を務めた後、2014年から2019年までエルサルバドル共和国大統領を務めました。

生い立ちと初期の活動

1944年6月18日、サンサルバドル近郊のケサルテペケで、木材職人の父と市場の食品販売員の母の間に生まれました。本来の姓は「サンチェス・エルナンデス」となるはずでしたが、母方の祖母の第二姓が誤って登録されたため、「サンチェス・セレン」となりました。サンサルバドルの学校を卒業後、10年間教師として教鞭を執りました。

エルサルバドル内戦とゲリラ活動

1979年に勃発したエルサルバドル内戦では、レオネル・ゴンサーレス司令官 (Comandante Leonel González) という名でゲリラとして活動しました。内戦終結後は、FMLNの政治家として活動を続けました。

副大統領から大統領へ

2009年の大統領選挙では、FMLNの代表としてマウリシオ・フネスとともに当選し、フネスが大統領、サンチェス・セレンが副大統領となりました。副大統領として、社会福祉や教育分野に力を入れました。

2014年の大統領選挙では、初回投票で48.93%の得票率で首位に立ちましたが、過半数には届きませんでした。決選投票では、サンサルバドル市長のノルマン・キハノとの間で激しい選挙戦が繰り広げられました。最終的に、50.11%対49.89%という僅差で勝利し、大統領に選出されました。

大統領としての業績と外交

2014年6月1日、69歳でエルサルバドル共和国大統領に就任しました。就任式には、スペインのフェリペ王子（後の国王フェリペ6世）をはじめ、約100か国から賓客が参列しました。日本からは林幹雄が特派大使として派遣され、サンチェス・セレンと会談しました。

大統領として、貧困削減や教育改革、治安改善に取り組みました。また、外交面では、中華人民共和国との関係強化を図りました。エルサルバドルは長年、中華民国（台湾）を承認していましたが、2018年8月21日に中華人民共和国との国交樹立の条件である台湾との断交を受け入れました。同年10月には、習近平国家主席の招待で中国を訪問し、中国国際輸入博覧会に出席しました。

大統領退任後

2019年に大統領を退任しました。退任後も、FMLNの活動を支援しています。

サルバドール・サンチェス・セレンは、ゲリラから政治家へ、そして大統領へと、激動の時代を生き抜いた人物です。彼の政治姿勢は、常にエルサルバドルの民衆の側に寄り添い、社会正義の実現を目指すものでした。

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