サレズ地震

サレズ地震の概要

サレズ地震（サレズじしん）は、1911年2月18日18時41分（UTC）の時間に、今はタジキスタンのルション地区に位置するパミール高原中心部で発生しました。この地震の規模は表面波マグニチュードで7.4と推定され、メルカリ震度階級では最大値IX、「破壊的」とされています。地震の影響により、ムルガブ川が堰き止められ、世界一高い天然ダムであるウソイ・ダムが形成され、その結果サレズ湖が誕生しました。

この地震によって多くの建物が破壊され、約100名の死者が出たことが記録されています。

テクトニクスの背景

サレズ地震の震央は、パミール高原の中心に位置しました。ここはインドプレートがユーラシアプレートと衝突し続け、ヒマラヤ山脈の西端を形成している地域です。この地盤は活断層の影響を受けており、衝上断層や横ずれ断層の共存が見られます。1911年の地震は、ヒンドゥークシュ山脈内の地震多発地域で発生したものであり、この場所ではマグニチュード7を超える大規模な地震が過去にも頻繁に起きていました。

地震の特徴

この地震はおおよそ2分間続き、その1時間後に余震が発生しました。この震動によって放出されたエネルギーは、当時の地震波データの記録から初期の事例の一つとして評価されています。現代の研究によると、表面波マグニチュードは7.4から7.6と見積もられています。地震による影響の一つとして、カラクル湖の東側から水が溢れ出し、結果として冷たく硬い氷だけが残る状況になりました。

地すべりの発生

サレズ地震の余波として、バルタン川、タニマス川、ムルガブ川の河谷において複数の地すべりが発生しました。特に注目すべきは、ムルガブ川を堰き止めた最大規模の地すべりで、これがウソイ・ダムとなり、サレズ湖とシャダウ湖を生み出しました。このウソイの地すべりは推定で約2 km³の体積を持ち、その高さはおおよそ600mにも及びます。湖には17.5 km³の水が溜まっています。地すべりは最高4,500mの山からスタートし、1,800mを降下して現在の位置に達しました。

被害状況

被害が特に深刻だった地域は、バルタン川に沿った西のバシドから、東のムルガブ川沿いのサレズに広がっており、バルチディブ、ニスル、サグノブ、ルクチ、オロショルといった村も影響を受けました。ウソイの地滑りは、ウソイの集落を完全に破壊しました。地震と地すべりによる死者数は、様々な推定値があり、90人から302人にまでばらついています。

地震後の影響

地すべりとサレズ湖の形成により、バルタン川の上流では住民の大規模な移住が必要とされました。地震後のこの影響は地域社会に多大な変化をもたらし、生態系にも影響を与えました。今なお、サレズ地震はタジキスタンにおいて忘れられない自然災害として記憶されています。

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