サワオグルマ

サワオグルマ（沢小車）

サワオグルマ（学名: Tephroseris pierotii）は、キク科オカオグルマ属に分類される多年草です。別名として浙江狗舌草（せっこうこぜつそう）という中国名も持ちます。

分布と生育環境

サワオグルマは日本固有種であり、本州、四国、九州に分布しています。日当たりの良い山野の湿原や谷間、水辺、耕作放棄された水田、水田の畦などに、大小さまざまな規模で群生しているのが特徴です。

特徴

多年草であるサワオグルマは、20cmから90cm程度の高さまで成長します。茎は太くて柔らかく、中が空洞になっています。根元から生える葉（根生葉）は、へら状の披針形をしており、長い葉柄を持っています。茎の上部につく葉は葉柄がなく、茎を抱き込むように生えます。若い茎や葉には白い綿毛が多く見られます。根生葉は花期にも残っており、大きく肉厚なのが特徴です。

花期は4月から6月頃で、茎の上部に直径3cmから4cmほどの黄色い頭花を、散房状に数個から30個程度つけます。頭花は舌状花と筒状花で構成されており、キク科植物の特徴をよく表しています。

近縁種との比較

近縁種のオカオグルマとよく似ていますが、サワオグルマの痩果には毛がなく、オカオグルマの痩果には毛がある点で区別できます。

利用

サワオグルマは、若芽、花、つぼみを食用として利用できます。採取時期は、温暖な地域では4月頃、その他の地域では5月から6月頃が適しています。採取する際は、資源保護のために根を残すように注意が必要です。若芽は春菊のような香りがあり、天ぷらにすると美味しく食べられます。また、茹でて和え物、酢の物、汁の実などにも利用できます。花とつぼみは、天ぷらや酢の物として食されます。

近縁種

オカオグルマ (Senecio integrifolius subsp. fauriei)

参考文献

高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、69頁。ISBN 4-05-401881-5。

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