サンガモン級航空母艦

サンガモン級航空母艦は、アメリカ海軍が第二次世界大戦中に運用した護衛空母の艦級です。本級は、T2型タンカーを母体として建造され、商船改造護衛空母としては最終型となりました。前級のボーグ級がC3型貨物船をベースとしたのに対し、本級はより大型のT2型タンカーを改造することで、搭載能力と運用能力の向上が図られました。

概要

1942年度計画では、C3型貨物船を改造した護衛空母を多数建造する予定でしたが、手配の都合で一部が不足しました。そこで、T2型タンカーを改造することが決定され、1941年12月11日に改造計画が承認されました。これがサンガモン級の始まりです。

サンガモン級は、ボーグ級に準じた艤装を備えていましたが、大きな違いとして、推進方式が一軸から二軸になったことが挙げられます。また、船体の大型化により飛行甲板を広く確保することができ、搭載機数も増加しました。特に、護衛空母としては唯一、F6F艦上戦闘機をカタパルトなしで運用できた点は、大きな特徴です。さらに、T2型タンカー時代の給油設備を流用したことで、他艦への補給能力を持つ空母となりました。これらの特徴から、サンガモン級は艦隊から高く評価されました。

しかし、いくつかの欠点も存在しました。ボーグ級と比較して飛行甲板が低いことや、格納庫下部にタンカー時代のウェルデッキが残されていたことが、荒天時にはマイナスに作用しました。特にウェルデッキへの波の吹き込みによる事故が多発したため、後の改修でウェルデッキ部分は閉鎖されました。

戦歴

1942年8月、建造された4隻のサンガモン級（サンガモン、スワニー、シェナンゴ、サンティー）は、北アフリカの反攻作戦に参加するため大西洋、地中海に展開しました。1943年初頭には「サンティー」を除く3隻が、太平洋戦線に転戦。当初は、艦隊空母と協同して作戦に参加しましたが、速力不足のために一時的に艦載機を取り上げられることもありました。しかし、ガルヴァニック作戦以降は、カサブランカ級とともに、対潜哨戒や上陸部隊への航空支援など、幅広い任務に従事しました。レイテ沖海戦では、「スワニー」と「サンティー」が、沖縄戦では「サンガモン」が、日本軍の特攻攻撃による損害を受けましたが、「スワニー」と「サンティー」は修理後に戦列復帰を果たしました。

サンガモン級は、本来の護衛空母としての運用だけでなく、支援任務においても重要な役割を果たしました。アメリカ海軍にとって、本級は合理的な攻撃型空母として、日本海軍の補助空母と比較して高い運用能力を示しました。

戦後は、「サンガモン」が特攻による損傷のため1945年に除籍されたのを除き、残りの3隻は保管船として退役し、1959年に除籍されました。早期に除籍された「サンガモン」は、タンカーに復元され民間船として再利用された後、1960年に解体されました。各艦の詳細な戦歴については、各艦の項目を参照してください。

同型艦

サンガモン (USS Sangamon, AO-28/AVG-26/ACV-26/CVE-26)
スワニー (USS Suwanee, AO-33/AVG-27/ACV-27/CVE-27/CVHE-27)
シェナンゴ (USS Chenango, AO-21/ACV-28/CVE-28/CVHE-28)
サンティー (USS Santee, AO-29/ACV-29/CVE-29/CVHE-29)

参考文献

「世界の艦船増刊第10集　アメリカ航空母艦史」海人社、1981年
「世界の艦船増刊第15集　第2次大戦のアメリカ軍艦」海人社、1984年
大塚好古「アメリカの空母各級厳選写真集」「数は力 力は正義なり！護衛空母群の航空戦力」「太平洋戦争時における護衛空母全般の評価」「太平洋戦争における米空母の各種艦上機」『歴史群像太平洋戦史シリーズ53 アメリカの空母』学習研究社、2006年、ISBN 4-05-604263-2

関連項目

アメリカ海軍護衛空母一覧
アメリカ海軍艦艇一覧
イギリス海軍艦艇一覧

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