艦載機

艦載機の概要と歴史

艦載機（かんさいき）は、軍艦に搭載され、その艦から直接運用できる航空機のことを指します。広義には艦船に搭載されるすべての航空機を含み、狭義には航空母艦以外の艦船に装備される航空機を意味します。特に第二次世界大戦以前は、その大多数が水上機であり、戦後はヘリコプターに主に取って代わられました。ただし、艦載機と艦上機の定義は厳密ではなく、一般的には艦上機でも艦載機と呼ばれることが多いです。この項では、艦載機の狭義の定義について説明します。

歴史的背景

第二次世界大戦中、大型の水上戦闘艦（戦艦、重巡洋艦、軽巡洋艦）には、偵察や弾着観測を目的とした水上機の搭載が一般的でした。これらの水上機は、甲板に設置されたカタパルトから発艦し、帰還の際には海面に着水した後、艦に装備されたデリックで吊り上げて収納していました。この運用方法は、主に低速の偵察用水上機に特化しており、高速戦闘機である艦上機とは異なります。

大日本帝国海軍では、航空母艦に搭載された飛行機は「艦上機」と呼び、他の艦船に搭載される水上機は「艦載機」と区別していました。特に日本海軍は、水上機の搭載を重視しており、多くの水上機を運用できる航空巡洋艦を持っていました。また、水上機を搭載できる潜水艦も多数就役していましたが、これらの水上機は性能面での制限があり、荒れた海での運用が難しいという問題がありました。特に艦が砲撃を行うと船体が傾き、発着艦が不可能になることもしばしばありました。

真珠湾攻撃のように、航空機による対艦攻撃の有効性が証明されるにつれて、艦載機の集中運用が求められ、徐々に空母へと航空戦力が集約されるようになりました。戦争中、艦隊の偵察任務も空母搭載の艦上機に移行していきました。アメリカ海軍が1949年に艦載水上機の運用を終了したことをもって、戦闘艦への水上機搭載は事実上行われなくなりました。

戦後の変遷

戦後は水上機に代わって、艦船での運用に適したヘリコプターが登場しました。ヘリコプターは垂直離着陸が可能で、狭い艦船の甲板でも容易に運用できるため、1960年代には各国の海軍が水上戦闘艦にヘリコプターを搭載するようになりました。現在では、一定以上のサイズを有する水上戦闘艦には1～3機の哨戒ヘリコプターが搭載されるのが一般的です。

このように、艦載機の歴史は戦争の技術革新とともに進化してきたことがわかります。軍事技術の進展により、今後もその役割は変化し続けるでしょう。

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