サンキュー (デュラン・デュランのアルバム)

アルバム『サンキュー』について

デュラン・デュランが1995年4月にリリースした『サンキュー』は、1993年の『デュラン・デュラン』に続くカバー・アルバムです。本作は、その後の彼らの音楽キャリアにおいて重要な位置を占めるものであり、商業的には一定の成功を収めました。Billboard 200での最高順位は19位、全英アルバムチャートでは12位に達しています。

しかしながら、音楽評論家たちからの評価は厳しく、「史上最低の音楽リリース」の一つとして言及されることが多いです。特に、2006年に『Q』誌が発表した「史上最低のアルバム50枚」では、首位にこのアルバムを選出しました。さらに、2014年には『アイリッシュ・タイムズ』においても「録音された音楽の歴史上、まさしく最低の1枚」として言及されるなど、その評価は散々なものでした。

楽曲と評価

本アルバムに収録されているタイトル曲「サンキュー」は、元々レッド・ツェッペリンの楽曲であり、映画『きっと忘れない』のサウンドトラックに短いバージョンが収められたのが初出です。その後、トリビュート・アルバム『Encomium: A Tribute to Led Zeppelin』にてさらに短いバージョンがリリースされました。

シングルとしては、グランドマスター・メリー・メルの「ホワイト・ラインズ」とルー・リードの「パーフェクト・デイ」が選ばれました。また、イタリアやスペインでは「レイ・レディ・レイ」もシングルとしてリリースされましたが、評価は様々でした。特に、シングル「パーフェクト・デイ」は、全英シングル・チャートで28位に上昇しましたが、アメリカではBillboard Hot 100に入ることはできませんでした。

『ローリング・ストーン』誌のJ・D・コンシディンは、アルバムの音楽的アプローチについて否定的な意見を表明しています。具体的には、エルヴィス・コステロの「ウォッチング・ザ・ディテクティブス」がイージーリスニング風にアレンジされていたり、レッド・ツェッペリンの「サンキュー」がクリス・デ・バーによるカバーのように聞こえることなどを指摘しています。しかし、イギー・ポップの「サクセス」をゲイリー・グリッターの曲に仕立てたり、「911イズ・ア・ジョーク」をベック風にアレンジするアイデアには、一定の斬新さを感じるという見方も存在しました。

ルー・リード自身も、デュラン・デュランの「パーフェクト・デイ」について「自分の曲としては最高のカバーだ」と評価しています。これは、アルバムに付属されたエレクトロ・プレス・キット（EPK）でのコメントです。

トラックリスト

アルバムの収録曲は多岐にわたり、既存の楽曲に対する新たな解釈が展開されています。デュラン・デュランの試みは一部から高く評価されていますが、総じて厳しい指摘を受けたこのアルバムは、彼らの音楽的冒険の一環として記憶されています。音楽ファンにとっては、その挑戦的なスタンスがどこに繋がるのか、今後の彼らの活動にも注目が集まります。

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