サンクトペテルブルク地下鉄

サンクトペテルブルク地下鉄：美しき地下宮殿の歴史と未来

サンクトペテルブルク地下鉄（ロシア語: Петербу́ргский метрополите́н）は、ロシアのサンクトペテルブルクを走る地下鉄です。1955年に開業し、ソ連時代にはレニングラード地下鉄と呼ばれていました。その魅力は、何と言っても豪華な装飾が施された駅舎にあります。まるで地下宮殿のような美しさは、世界中の人々を魅了し続けています。

世界有数の深さを誇る地下鉄

サンクトペテルブルクの地下鉄は、地質的な理由から世界で最も深い場所に位置しています。プラボベレズナヤ線のアドミラルチェイスカヤ駅付近では、なんと86メートルの深さを走行します。毎日約250万人の乗客が利用し、その輸送量は世界第11位を誇ります。軌間はロシアの鉄道で標準的な1,520mmです。

特徴的な駅の構造

サンクトペテルブルク地下鉄は、旧ソ連の中でも特徴的な構造を持っています。市中心部の駅は非常に深い位置に建設されており、これは冷戦時代の防空壕としての役割も兼ね備えていたためです。多くの古い駅には、耐爆ドアや空気フィルタが設置されています。

駅の設計にはいくつかの種類があります。

パイロンタイプ: 地下の空間が3つのドーム状のホールに分割されており、柱（パイロン）の間を通り抜けて各ホール間を移動できます。
コラムタイプ: 3つのホールの間の柱が細く、通り抜けやすくなっています。
ホライズンタル・リフト: ホームドアを持った駅の設計で、サンクトペテルブルク以外では見られません。しかし、旅客に不人気で技術的な問題もあったため、1972年以降の駅では用いられていません。
シングルボールト設計: 1970年代中頃から普及した形式で、サンクトペテルブルクで最も多く見られます。

駅の装飾は、当初はスターリン様式で優美でしたが、1958年以降はニキータ・フルシチョフの方針により、装飾が簡素化されました。

歴史

サンクトペテルブルクにおける都市内高速交通機関の計画は、1899年には存在していました。しかし、ロシア革命と内戦を経て計画は中断され、1935年のモスクワ地下鉄の開通を受けて、再び計画が浮上しました。

現代の地下鉄網の歴史は、主要な鉄道ターミナル駅を結ぶ路線の建設が始まった1940年に始まります。第二次世界大戦により計画は遅延し、1955年11月15日に最初の区間が開通しました。この区間はキーロフスコ-ヴイボルグスカヤ線の一部となり、市の中心部と南西部の工業地帯を結びました。

その後、路線の延伸が続けられ、1960年にはモスコフスコ-ペトログラーツカヤ線が開通、1967年にはネフスコ-ヴァシレオストロフスカヤ線が開通しました。1985年にはプラボベレズナヤ線が開通し、2008年には一部がフルンツェンスコ-プリモルスカヤ線として分割されました。

建設の苦難

サンクトペテルブルクの厳しい地質は、地下鉄建設工事を度々妨げました。1970年代には、キーロフスコ-ヴイボルグスカヤ線のトンネル工事中にネヴァ川の地下にある空洞に遭遇し、1995年にはレスナヤ駅 - プロシャチ・ムジェストヴァ駅間が浸水する事故が発生しました。この区間は9年以上にわたり閉鎖され、新しいトンネルが建設されました。

運営

サンクトペテルブルク地下鉄は、市営企業のサンクトペテルブルクスキー・メトロポリテンによって運営されています。この会社は、駅員・保線・列車の運転・保守など、数千人の従業員を雇用しています。

車両

地下鉄の車両は、5つの車両基地に1,403両が在籍しています。車両のほとんどは81-717/714形式で、旧ソ連の多くの都市で利用されています。

保安

地下鉄網は、核攻撃に備えたシェルターとしての機能も有しているため、高度な保安対策が施されています。すべての駅に監視カメラが設置されています。

将来計画

サンクトペテルブルク地下鉄には、21世紀前半における大規模な拡張計画があります。環状線の建設や、プラボベレズナヤ線の北西部への延伸、新たな放射状路線の建設などが計画されており、2050年までに地下鉄網の総延長は2倍になる予定です。

サンクトペテルブルクを訪れる際には、ぜひ地下鉄に乗って、その美しさを体験してみてください。

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