サンシュ1世 (ポルトガル王)

サンシュ1世（Sancho I, 1154年11月11日 - 1211年3月26日）は、ポルトガル王国ブルゴーニュ王朝の第2代国王です。初代国王アフォンソ1世とマファルダ・デ・サボイアの息子として生まれました。

治世

1185年に父の死後、王位を継承し、コインブラ大聖堂で戴冠式を執り行いました。彼の治世は、政治手腕に優れ、父の時代からのレコンキスタによる領土拡大をさらに進め、国内の安定化に注力したことが特徴です。特に、領土にポルトガル人やフランドル人などの移民を積極的に受け入れ、殖民を奨励しました。これにより、国内の開発を促進し、ポルトガルの内政基盤を確立したことから「殖民王」と称されています。

1189年には、第3回十字軍の艦隊がイベリア半島に寄港した際、その支援を受けて南部のアルガルヴェ地方のシルヴェス・アルヴォルを攻略しました。しかし、翌年にはムワッヒド朝の侵攻により、キリスト教勢力はタホ川流域まで押し戻され、1191年にはシルヴェスを奪還されてアルガルヴェ地方を失いました。さらに、ムワッヒド朝軍はセトゥーバル県まで占領する事態となり、サンシュ1世はムワッヒド朝との講和を余儀なくされます。

その後、サンシュ1世はタホ川以北への入植を奨励し、ポルトガル北部やフランドルからの移民を積極的に受け入れ、植民と土地開発に専念しました。東部のベイラ地方にあるグアルダやコヴィリャンでも集団移住と開拓を進め、国土の復興と再建に力を注ぎました。

また、1191年には、甥であるレオン王アルフォンソ9世がカスティーリャ王アルフォンソ8世に反発した際、ナバラ王サンチョ6世、アラゴン王アルフォンソ2世と共に反カスティーリャ同盟に参加しました。しかし、1196年にアルフォンソ9世がローマ教皇ケレスティヌス3世によって破門され、翌年に討伐命令がポルトガルに出されると、サンシュ1世はアルフォンソ8世とアラゴン王ペドロ2世（アルフォンソ2世の子）に与し、アルフォンソ9世にカスティーリャとの講和を余儀なくさせました。

文化面では、フランスの影響が色濃く見られ、トルバドゥールによる宮廷文化が花開きました。

サンシュ1世は1211年に死去し、コインブラのサンタ・クルース修道院に埋葬されました。王妃ドゥルセ・ベレンゲル・デ・バルセロナとの間に生まれた息子アフォンソ2世が王位を継承しました。

子女

1174年、バルセロナ伯ラモン・バランゲー4世とアラゴン女王ペトロニーラの長女ドゥルセと結婚し、11人の子供をもうけ、そのうち9人が成人しました。

テレサ（1176年 - 1250年） - レオン王アルフォンソ9世妃。後に近親婚を理由に結婚を無効とされた。
サンシャ（1180年 - 1229年） - ペナコバの尼僧。
コンスタンス（1182年 - 1202年）。
アフォンソ2世（1185年 - 1223年） - ポルトガル王。
ペドロ（1187年 - 1258年） - ウルジェイ女伯アウレンビアシュと結婚、ウルジェイ伯となる。
フェルナンド（1188年 - 1233年） - フランドル伯フェラン、フランドル女伯ジャンヌと結婚。
ブランカ（1192年 - 1240年） - グアダラハラの修道女。
ベレンガリア（1194年 - 1221年） - デンマーク王ヴァルデマー2世妃。
* マファルダ（1195年 - 1256年） - カスティーリャ王エンリケ1世妃。


サンシュ1世の治世は、ポルトガル王国の基盤を築き、その後の発展に大きな影響を与えた時代として評価されています。

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