サンジェルマン (製パン)

株式会社サンジェルマンは、パンや洋菓子の製造・販売、カフェの運営を主たる事業とする日本の企業です。本社および登記上の本店は、神奈川県横浜市港北区に置かれています。同社は現在、外食産業を手掛けるクリエイト・レストランツ・ホールディングスの完全子会社として運営されています。

サンジェルマンの歩みは、1934年に東急百貨店の製菓工場として東京都目黒区で創業したことに始まります。1948年には東横食品工業株式会社として独立し、以来、創業当初は東急グループの一員でした。この歴史的な経緯から、現在でも東急百貨店や東急ストアをはじめとする東急グループが運営する商業施設内に、多くの店舗を展開しています。

同社は設立以来、親会社を複数回変更しています。1990年代後半から2000年代初頭にかけて、バブル経済崩壊後の経営再建を進めていた東急グループは事業のリストラを加速させていました。一方、食料品部門の強化による事業多角化を目指していた日本たばこ産業（JT）との間で、互いの戦略が合致します。その結果、サンジェルマンの経営権は東急百貨店からJTに譲渡され、同社はJTグループの一員となりました。

しかし、JTもまた食料品事業全体の再編を進めることになり、サンジェルマンの更なる売却が決定されます。2022年9月15日、JTはサンジェルマンおよび子会社の株式会社北海道サンジェルマンの全株式を、クリエイト・レストランツ・ホールディングスへ譲渡することを公表しました。同年12月には買収が完了し、サンジェルマンは新たな親会社の傘下に入りました。この際の買収金額は23億4,000万円でした。

製造拠点についても変遷があります。かつて本社機能を併設していた神奈川県川崎市高津区の多摩川本社工場は、2011年11月に閉鎖されました。本社機能は同年、横浜市港北区にある横浜工場へ移転しています。多摩川工場に併設されていた工場直売店「ブレッドボックス」は、工場移転後も二子新地店としてアウトレット形式での営業を継続しています。

サンジェルマンは、様々な顧客層や出店立地に対応するため、複数の店舗ブランドを展開しています。メインブランドは「サンジェルマン」で、そのほか、百貨店などに出店するスペシャルティブランド「プルミエ サンジェルマン」、駅構内や駅ビルを中心に展開する「フラマンドール」、「タンドレス」、「ドゥマゴ」といった個性的なブランドを運営しています。過去には「プチサンジェルマン」やベーカリーカフェの「マコーレ」、「メゾンカイザー」といったブランドを手掛けていた時期もあります。

また、子会社の株式会社北海道サンジェルマンは、主に北海道内で独自のブランドを展開しています。主力となる「レフボン」のほか、100円均一の低価格帯を提供する「サンヴァリエ」、JR小樽駅構内のレトロな内装が特徴の「小樽サンジェルマン」などがあります。

沿革を時系列で見ると、1934年の創業、1948年の独立、1970年のサンジェルマン1号店開店、1979年の東急フーズへの合併、1994年の再分社化を経て株式会社サンジェルマン設立、2002年のJTによる完全子会社化、そして2022年のクリエイト・レストランツ・ホールディングスへの売却といった主要な出来事があり、激動の時代を乗り越えて現在に至ることが分かります。

このように、株式会社サンジェルマンは、創業から現在まで様々な親会社の傘下を経験しながらも、一貫してパンとカフェの事業を中心に、独自のブランド展開を通じて顧客に商品とサービスを提供し続けている企業です。現在の親会社であるクリエイト・レストランツ・ホールディングスのほか、過去の親会社であるJT、テーブルマーク、創業時の東急グループなどが関連企業として挙げられます。

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